tofubeatsはどのようにして最前線のアーティストとなったのか?経歴や人気曲もご紹介

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tofubeatsは、HIPHOPシーンだけではなく音楽業界全体にその名が知られている。

バトルや日本語ラップのヘッズでHIPHOP以外の音源は聞かないという方でも、彼の名前を耳にしたことがあるはずだ。

以前から知名度が高いのでなんとなくすごいアーティストだという認識を持っている人もいるかもしれないが、実際tofubeatsはトラックメーカー・歌手・DJとしてだけでなく、映画音楽も手掛けるほど一流のアーティスト。

tofubeatsを詳しく知らない方に向けてこれまでの経歴や人気曲から、最新リリースについてご紹介する。

tofubeatsはどんな人?

tofubeatsは、アーティストだけではなく、自身が所属する事務所「HIHATT」の経営者としての顔も持つ。

音楽を作り始めたのは中学生時代からで、当時影響を受けたのはBUDDHA BRAND、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND、イルリメなどの日本語ラップやルビオラ、speedometerなどのエレクトロミュージックなどだという。

同時に、当時の日本語ラップ界隈の限定的な考え方に疑問を抱くようになったそうだ。確かに、今もあるかもしれないが、2000年代初期から中盤にかけては「ヒップホップたるものかくあるべし」という考え方が強くあった。

たしかにそういったものを息苦しく思う気持ちは理解できる。

当時からインターネットで楽曲を公開する手法やプラットフォームはあったが、現在のようにSNSで拡散することはなく限られた範囲で楽しまれていた。

そのころからブックオフやハードオフでCDやレコードを買うようになり、現在のスタイルに繋がる好みが形成され始めたそうだ。

そうしてimdkmに見いだされたり、自主制作CD-Rを営業していった結果徐々に音楽業界に名前が知られ始める。

インターネットと音楽についてtofubeats自身が綴った文章は、読み応えもあるし、音楽を志す人にとって学べる部分も多いだろう。

かつて存在したmuzieというサイト等で自身が作った楽曲を公開し、高校生になると水星でも共演したオノマトペ大臣から渋谷系音楽を教わる。その制作過程においてヒップホップとの共通点を見出しJ-POPにも親しみ始めたんだとか。

シティポップの名曲として名高い竹内まりやの「Plastic Love」をカバーしたり

 

「CHANT #1」では、山下達郎的な多重録音を披露しているのも、そういった音楽的ルーツが影響しているのだろう。

 

以後、Twitter経由でマルチネ・レコーズに合流し「dj newtown」名義でイベントにも参加するように。

マルチネ・レコーズはインターネットをうまく利用した手法で注目を集める。

ちなみに別名義で2011年から使われていなかったdj newtownは、活動10周年を祝して2018年に復活。翌年にはアルバム「WEST MEMBERS」をリリースしている。

水星そしてワーナーからメジャーデビュー

マルチネ・レコーズでの活動と並行してオノマトペ大臣とも一緒に曲を制作するようになる水星もその内のひとつであった。

カラオケでKOJI 1200(今田耕司とTEI TOWAによるユニット)の「ブロウ ヤ マインド~アメリカ大好き」をサンプリングしてできたのが「水星」だ。

余談だが、「ブロウ ヤ マインド(1996年)」の元ネタというか、アイディア元となったのはTEI TOWA作曲でダウンタウンと坂本龍一のユニットGeisha Girls名義で1994年にリリースされた「Blow Your Mind」だ。

水星は当初SoundCloudで公開されていたが、2011年にレコードリリースされると1,000枚以上売り上げた。翌2012年にはデジタルリリースされたが、iTunes Storeチャートで1位を獲得。

有名アーティストを抑え、マネジメントのないアーティストが首位を獲得するのは異例中の異例のできごとだった。

tofubeatsというアーティストの名前が、業界だけでなく世間に広まった瞬間だ。

同年には、YUKIの「わたしの願い事」、

ねごとの「sharp ♯」のリミックスを担当。

有名アーティストからも一目置かれる存在に。

「水星」は、カバーやリミックス版も多数登場し、ジャンルや世代を超えたアンセムとして10年近くたった今も愛されている。

2019年3月14日放送のアフターシックスジャンクションに出演した際には、18分間に渡る水星ミックスを披露。数々のバージョンの水星と共に、サンプリング元の「ブロウ ヤ マインド」と同コード進行の椎名林檎「丸の内サディスティック」もミックスされた。

ワーナーからのメジャーデビュー

2013年には、「Lost Decade」がワーナーの流通でリリース。

刈谷せいら、PUNPEE、SKY-HI、オノマトペ大臣、ERA、G.RINA、南波志帆など豪華なメンツを客演に迎えているが、もともと「lost decade」はマルチネ・レコーズのイベント名で学生最後の思い出としてアルバムを作成したそうだ。

学生時代に所属していたメジャーレーベルの育成部門でのプレゼンに失敗し、ストレスで体調に異変を来たすなどの経験を経たためかかなりパーソナルなアルバムになっている。

現在でも「lost decade」は全曲サウンドクラウドで聞くことができるが、これにはマルチネ・レコーズ時代に培ったフリーダウンロードと音源購入についての考えが影響しているらしい。

2014年10月2日のトーフの日にはメジャー初アルバム「First Album」を翌年1月末にはリミックス版をリリース。

有名アーティストとも次々コラボ

tofubeatsは、ジャンルに囚われず多くの才能ある人とコラボしクオリティの高い楽曲を発表している。

森高千里とコラボした「Don't Stop The Music」は80年代のディスコミュージックを洗練させたサウンドで、若者だけでなく森高千里の昔からのファンにも好評だ。

「ディスコの神様」では、芸人・歌手・俳優・プロデューサーとしても活躍する藤井隆と共演。

2人のポップスターが共演したことは、当時大きな話題になった。

MVの中では、マンションの一室にミラーボールを設置してディスコにしているが、このシーンは「クラブで踊れなくても家の中でヘッドホンを付けて踊ればいい」という意味が込められた「朝が来るまで終わる事のないダンスを」を連想させる。

「ディスコの神様」での共演がきっかけとなったのか、藤井隆が2019年にプロデュースした鈴木京香の芸能生活30周年記念音源「dress-ing」で「水星」の新アレンジを手掛けている。

原曲の水星は退屈な日常といった若者のモラトリアム期間に見る夢や理想、娯楽の比喩といったイメージがあるが、鈴木京香版の水星は現実世界とリンクするおとぎ話のような不思議な世界観だ。

まるでどこかの星に住んでいる少女がミラーボールを宇宙船にして冒険を始めるようなストーリー。

tofubeatsの人気曲

tofubeatsはご存知の通り、トラックメーカーとしてだけではなく自身も歌手として高い評価を得ている。オートチューンやエフェクトをかけた歌唱が特徴的だ。

映画「寝ても覚めても」の主題歌となった「RIVER」は恋愛模様を美しく描写しているメロウなチューンだ。

ふたりの愛は
流れる川のようです
とぎれることないけど
つかめない

不思議なほどに愛は
ふたりをつないでる
どんなに離れていても
つよく つよく つよく
いろんなもの投げ出して
沈みゆく私をそっと 
すくいあげて

いろんな愛を愛を
集めた色のようだ
喜びも悲しみも
映してる

その後例のスキャンダルが発覚したが、むしろ現実と歌詞とがリンクしてこの曲に深みが出ているようにも取れる。(不倫はいけません)

2020年に入りミニアルバム「TBEP」をリリースしたが、1曲目の「陰謀論」はタイミングがタイミングだけになんらかのメッセージや皮肉が込められているのか?と勘繰ってしまいそうになるが、アルバムに収録する予定だった楽曲の権利問題により急遽作ったのがこの曲だったというのが真相のようだ。

1週間で作った曲だとは思えないほど乗れるし、頭を空にしてアルバムの世界に入り込むのにぴったりだ。

MVの中でも写し出されているが、陰謀論に踊らされているおじさんのダンスはtofubeats自身の動きをモーションキャプチャーで反映させたものだ。盆踊りっぽくてクセになる。

同じく「TBEP」の中の「CLUB」では、「朝が来るまで終わる事のないダンスを」を制作した当時の気持ちをより正直に歌詞にしたそうだ。

クラブがなくても、家でも車でも曲を聞いて踊ることはできる。そういった大きな意味でのダンスチューンではあるが、コロナ禍においては気兼ねなくそうできた日々が懐かしいな。とノスタルジックな気分になってしまった。

最近のリリースは?

TC Crewのクラシックをカバー

TBEPに収録するはずだったが、ライセンスの関係で果たせなかったカバー曲がLPシングルとして発売された。

TC Crewはシカゴを拠点にするハウスミュージックのクルーで、「I Can’t Do It Alone」はTyree Cooperというアーティストが最後に発表したとされている楽曲だ。

ちなみに2018年10月にもアルバムRUNの発売前に同じ曲をカバーしているが、かなり違うアレンジとなっている。

1992年に発売されたTC Crewの原曲はこちら。

RUN RemixにはKREVAが参加

今年9月にリリースされた「RUN REMIXES」では、KREVAとVaVaがタイトル曲「RUN」のリミックス版に参加。MVも制作されている。

トラックメーカーであり、オートチューンを駆使する3人のアーティストが走り続けることをテーマにバースを蹴っている。

こんなにたくさんいるのに たった一人 走るとき
そわそわしてるだけ 何も起こらない
誰かに呼ばれるのを ずっと待ってた
間違うことはできないし 答えは隠される
どんなに挫かれきっても 僕らはまだ
走るのみ(tofubeats)

走る意味走りながら探す旅
チャリ走ばりに障害物超えた先
飽きない 間違いない男たち/
結局だりぃ だりぃな道の方がLuck
だから画期ない道に帆を出す(VaVa)

走らされてる ヤツらから今日も
吐き出されてく ため息まじりのCO2
誰かが囁いてる 苦しそう
でもまだ加速してみせる不死鳥
駆け出す気持ちの行き場所 信じましょう(KREVA)

人工的に作られた街として、盛衰を経て現代では事件などのネガティブなイメージを持たれがちなニュータウン。2018年のアルバム発売当時tofubeatsは自身もニュータウン出身として、冷徹な街のイメージを変えていくという考えを元にしたと語っていたが、今回は焦燥感というよりももっと大きな希望を見出すために走りだす感じがある。

KREVAの「個人競技団体競技関係なく/器用貧乏になんないようにやってやる」と文章で踏んでいるのはさすがとしか言いようがない。

2021年には日韓を繋ぐイベントにもゲスト出演

精力的に活動を続けるtofubeatsだが、2021年1月10日(日)には『NEXT BOWL 2021 presented by TodakTodak』へ参加することがアナウンスされた。

NEXT BOWLは、韓国の音楽やファッション等のカルチャーをビジュアルアートと合わせて演出するイベントだ。K-POP DJイベント「TodakTodak」が主催し、今熱い音楽が楽しめる。

NEXT BOWL 2021 presented by TodakTodak
2021年1月10日(日)17:00~21:00
チケット:¥2,000(税込)購入はこちら

チケット販売期間:12月17日(木) 18:00~202年1月10日(日) 16:59まで

イベントは配信で開催され、アーカイブは残らないので気になる人はチケットを買うのをお忘れなく。

tofubeatsのDJプレイを楽しみにツイートを見ていたらさりげなくボムが落とされていた。

今人気のグループが所属する事務所のコンペに参加していたそうだ。tofubeatsがプロデュースするK-POPアイドルもぜひ見てみたい。

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