数多くのミックステープをネット上にドロップし続け多くのヘッズを魅了してきたNF Zesshoというラッパーを知っているだろうか?
ラッパーでありながら、トラックメイクもこなすNF Zesshoは、アルバム作品以外にも多数の自主制作EPやビートテープ等をハイペースで発表し続けており、総作品数は本人ですら把握しきれないほど。
ミキシングやマスタリングなどの作業まで自分1人でこなしてしまうNF Zesshoの魅力に今回は迫っていこうと思う。
NF Zesshoというアーティスト
NF Zesshoは、1993年生まれ、福岡県福岡市早良区出身。
好奇心からラップを始めたことが、アーティストとして活動することになったきっかけ。ラップを始めた当初は、ヒップホップの歴史や、深い部分までは理解できていなかったらしい。
Enpizlab、AWOL Cartel、AgianGangAgeなど様々なクルーの仲間たちとビート作ったり、そのビートにラップ乗せたりしている。
2013年に1stアルバム「Natural Freaks」、2015年に2ndアルバム「Beyond the MoonShine」、 2018年にはManhattan Recordingsより3rd アルバム「CURE」をリリースした。
3rd アルバム「CURE」をリリースするまでは、音楽制作と並行して仕事を行なっていたNF Zessho。
1stアルバム「Natural Freaks」、2015年に2ndアルバム「Beyond the MoonShine」どちらとも自社レーベルからのリリースだったが、自主制作の限界を感じたことにより、撮影監督のPitch Odd Mansionの国枝真太郎の協力で、Manhattan Recordingsから3rd アルバム「CURE」をリリースした。
3rd アルバム「CURE」
3rd アルバム「CURE」をリリースする経緯について、音楽を作るのは生活の一部だからアルバムを作るきっかけとかは特になかったとNF Zessho自身は語っている。
1st、2ndはEnpizlabっていうクルーの仲間、Yoshinumaにアイデアを求めつつ曲名や作品タイトルを決めていたが、3rd アルバム「CURE」は、曲名からアルバムタイトルまで全てをNF Zessho1人で決めた。
どういう状況であれ“立ち上がって前に進んで行かなければならない”自分が傷ついてもう無理だって状況になった時、再び立ち上がることが出来る理由はきっと“癒やされた時”
これが「CURE」のタイトルの由来だ。
このアルバムは、SideAとSideBに分けられているが、NF Zesshoは、SideAにFeatした曲を、SideBに自分の曲を配置している。Side BはNF Zesshoが1人だった場合、Side Aは友達といっしょにいた場合っていう同時間軸での別世界の話、ifストーリーって感じになっている。
そのアルバムの中でも、NF Zesshoが特に思い入れのある曲は、「Refrain feat..Yoshinuma」と「Wonder Child feat..唾奇」
Refrain (feat. Yoshinuma)
自分を抑える為の言い訳はありふれ
あの頃の最高の曲 今Refrain
ラップしてて良かった マジこれからもそう
俺が死んでもこの曲が来世に残る
俺の仲間や兄弟をRepresent ラップしてる時それかそれ以上に今も救われてる
自分の思いや価値観をこれでもかと詰め込んだ「Refrain (feat. Yoshinuma)」
ダークな印象を受けるビートの上で淡々と言葉を落とすNF Zesshoのスタイルは誰にも真似できない唯一無二のかっこよさ。
NF Zessho - Wonder Child ft. 唾奇
唾奇とフューチャーリングをした「Wonder Child」
唾奇の“道-TAO-”を聴いてやばいと思い、連絡を取った。「良かったらリミックスしてください」と唾奇が返事をしたことが2人のこの曲のきっかけとなった。
曲名の「Wonder Child」は”トラウマから解放された人”という意味で、NF Zesshoの周りには、それが当てはまる人が唾奇だった。
Twitterでは、唾奇がベストバースを蹴ったと言ったことが一部のヘッズの間で話題になった。
確かチコと俺のライブを見てた客はchouji一人だった
今じゃもうパンパンのフロア
愛してくれ 愛してるぜ 終わりたくない
夜にある理由をずっと探していた
笑われてた仲間達と笑っていた 何故かこうなる事も分かっていた
唾奇のバースは最初から最後までかっこいいの一言に尽きる。
NF Zesshoと唾奇の2人のコラボにハズレはない。
NF Zessho / Jenny Gump[Another] feat.サトウユウヤ
NF Zesshoが16歳の頃から交流のあるサトウユウヤ。NF Zesshoにとっては、同じAWOL Cartelの仲間であり、友達であり先輩であり、あとは何よりも日本でいちばんリスペクトしてるラッパーだという。
元々は、NF Zesshoがサウンドクラウドにソロで作ってアップロードしていた「Jenny Gump」
その曲を聴いて気に入ったサトウユウヤは、Remixを制作。何も知らないNF ZesshoはそのRemixを聴いてブチ上がったという。「CURE」に収録されている「Jenny Gump[Another] feat.サトウユウヤ」はその時からさらにアップデートした完璧に仕上がったバージョン。
自分を偽ってTurn it up でもFameがChainに変わる
イケてればウザいヤツもすぐに黙る
それを理解すれば何か変えられる マスゲーム降りて焚きつけるFresh
自分の中の思考をカッコよく表現することができるNF Zesshoのワードセンスに多くのヘッズは惹きつけられるのかもしれない。
NF Zesshoが影響を受けたアーティスト
基本的にアルバムの客演として一緒に楽曲制作した人からは影響を受けているというNF Zessho。
色んなラッパーを尊敬し、いいところを吸収していくそのスタイルが、多くの楽曲を生み出したことは確かだろう。自身でもラップがどんどんアップデートされていく感覚があると語る彼は、3rd アルバム「CURE」を制作した際にもその感覚があったという。
NF Zesshoが感じたその進化している感覚のきっかけをくれたのは、韓国のラッパーDok2だったという。
2020年6月16日に発売したアルバム「RYNO」
アルバム「RYNO」は、ライブにきてくれたリスナーが盛り上がれる事をコンセプトに作られたアルバムだ。この作品に収録されている曲は、NF Zessho自身が2、3年前からすでに制作していた曲で、ライブとかでやっていた曲も多い。
このアルバムを制作するときに、「自分のことだけでなく、人に喜んでもらえるような作品を作りたい。」と考えてライブでやっていた曲を音源化した結果が、「RYNO」という形になった。
NF Zessho "S.O.F(original)"
曲のタイトルにもなっているS.O.Fは、Spirit of Fireの略。
シャーマンキングってマンガのキャラ、ハオが使う精霊の名前のことだ。
病院に担架で運ばれるシーンから始まるMVのシーンはとても強烈な印象を残す。
このMVは、国枝真太郎からこの曲でMVを撮りたい。と連絡があったそう。
NF Zesshoオススメの楽曲
これまでに制作した楽曲の数が多すぎて自分でもわからないというNF Zessho。
定期的にアルバムやシングルをリリースしているが、その中には名曲が山ほどある。本当はオススメの楽曲全てをこの場で紹介したいが、それではキリがないのでここでは絶対に聴くべき楽曲をチョイスして紹介する。
NF Zessho - Paradise
「Bad Vibes Only」というアルバムの6曲目に収録されている「Paradise」
自作のビートに絡み付くように言葉を落とすNF Zesshoが本当にかっこいい。リリック一つ一つが深くて、日本語を使ってラップしている意味のある数少ないラッパーの1人。
死ぬ気なんてないのに死にたさが蝕むような夜は
自分が生きるべき正しい生き方を知るためにあって
自分のありのままの存在や心の中に抱える不安や悩みを否定的に捉えるのではなく、死にたいと思う気持ちの中で正しく生きることに価値を見出すことが真の癒しだという事を示唆している。
このMVの監督は、国枝真太郎。トイレの中で注射を打つシーンから始まるこのMVは、NF Zesshoのリリックの中に隠された意味を上手く表現した作品。
Utopia.feat.NF Zessho
この曲は和を感じる優しく聴き心地の良いトラックの上で
麻薬取締法がない場所で遊びたいね 名付けるとしたらUtopia
とユートピアを願う気持ちが込められた名曲。いい意味でNF Zesshoらしくない、明るいテンポと明るいテーマを歌い、多くのヘッズにポテンシャルの高さを証明した。
AKIRA (NF Zessho x Aru-2) "All Friends"
Aru-2とNF Zesshoのジョイント・アルバム「AKIRA」に収録されている「All Friends」
Are-2が作り出す最先端さとオーセンテックさ両方を感じられるビートの上で、リリシストであるNF Zesshoがメッセージ性のある言葉を吐く。お互いの才能が混じり合って起こった化学反応とも言えるこの楽曲は、絶対に聴くべき名曲だと言える。
いかがだっただろうか。何度も言うが、NF Zesshoは制作した楽曲が多いだけに名曲も数えきれないほど存在する。ビートの耳触りの良さだけでなく、リリックひとつ一つに深みが出る彼の楽曲はこれからも多くのヒップホップヘッズを魅了していくだろう。
ここでは紹介できなかった名曲もたくさんあるので、ぜひチェックしてもらいたい。