10月14日にラッパー神門(ごうど)が10thアルバム「歳月」をリリースした。神門といえば、詩を読むように歌うポエトリーリィングを得意としているラッパーだ。
自身に壮絶なバックグラウンドがなく、日常の出来事やありのままの自分をテーマにして作曲している。そのため、共感できるリリックや胸に刺さる楽曲が多く、今も根強い人気を誇っている。
今回のアルバム「歳月」はどのようなことをテーマにした作品なのだろうか?
神門のこれまでとともに紹介していく。
神門のプロフィール
MCネーム | 神門(ごうど) |
MCネームの由来 | 名字の"神門"より |
出身 | 神戸 |
生年月日 | 1986年生まれ |
神門は2005年よりラッパーとして活動を始める。2007年に1stアルバム「三日月」を出した。ラブソングがメインのアルバムで、包み隠さずにありのままの自分を描いたリリックがHIP-HOP界隈で反響を呼んだ。
その後もラッパーがあまりテーマにしないような、失恋や就職などの日常をコンセプトにした曲を制作する。ライブ活動も行っており、神戸で絶大な支持を得ていた。
2013年4月に楽曲制作に時間を費やしたいという理由でライブ活動を休止する。2014年に「苦悩と日々とど幸せ」、「色彩」と2枚のアルバムをリリースし、2017年には3年かけて制作した渾身のアルバム「親族」をリリース。
2018年、アルバム「エール」をリリースしたのち、ライブ活動を再開すると発表。現在はライブ活動を行いながら楽曲制作も行い、10月14日に10thアルバム「歳月」をリリースした。
10thアルバム「歳月」
10thアルバム「歳月」は神門がライブ活動再開してからの初のアルバムだ。「歳月」というタイトル通り、ラッパーになり長い年月が過ぎた神門の”これまで”と”今”を比較している楽曲が印象的である。
CDジャケットは「三日月」をオマージュしており、楽曲も要所要所で初心に返っているような曲が多い。トラックメイカーは昔から楽曲を提供している観音クリエイションをはじめ、SHIBAO、ikipedia、Michitaが参加。
神門のアルバムは「1本の映画を観たような」と評価されることが多いが、「歳月」は「10本の映画を観たような」を目指したアルバムだ。全10曲それぞれに物語があり、内容に厚みのある楽曲ばかりそろっている。
1曲目「0.00」
1曲目「0.00」ではライブ活動を再開して5年ぶりにステージに立った時の想いが込められている。
4曲目「半生」
4曲目「半生」は1stアルバム「三日月」の頃の失恋を振り返った曲。
全曲ラブソングでデビューした俺ですが きっと失恋に書く曲はこれが最後です
かつてのMr.片思いも結婚した 過去がくれる一番の財産は”今”
という現在の神門を表すリリックには、デビュー当時から神門を知っているファンにとって感動的なリリックだ。
7曲目「子が生まれ」
7曲目「子が生まれ」は息子が生まれる前から生まれて成長していく姿を父親目線で歌詞に綴っている。
子供と過ごしたエピソードを思い出すように語り、
幸せとは「帰ろうか?」って言葉が別れのあいさつでなくなることだ
などハッとさせられるようなリリックを描写。言葉選びや表現がきれいな楽曲だ。
R-指定もお墨付きのラッパー
神門の楽曲はラッパーからも支持を得ている。R-指定は自身のラジオ番組「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」で神門を紹介したことがある。
「俺からしたら正真正銘の超ど真ん中のラッパー」
「人生を全部作品に出来る人」
「この人はたぶん無限に書き続けるやろうなっていうか。神門さんホンマに人生を経験していくたびに、いろんな転機があるたびに書いていく人なんやなっていう、まさに生き様な人」
など、ラッパーとして生き様を見せつける神門を絶賛していた。
R-指定は神戸で一緒にライブしていたことがある。先輩の神門がライブチケットのノルマを払わなければならない下積み時代から、ライブに出てギャラがもらえるまでの過程を横で見ており、有名になっていく姿を見て感動したそうだ。
神門のおすすめ楽曲
なら、こう生きよう
自分の道について悩み続けていた神門が、現状の答えをリリックにした楽曲だ。本人にとって節目の曲だったと語っている。「死ぬことより死んだように生きることが怖い」などパンチラインが多い。
夫婦
神門が結婚して、夫婦の出来事や結婚生活に対しての心情を赤裸々に歌った曲。妻といて嫌なこともあるが、ささいなことに幸せを感じている神門。最後の「Where is happiness」は以前制作した失恋ソング「HERE IS HAPPINESS」からとり、昔の自分が今の自分を見たら羨ましいと思うだろうなという想いが込められている。
ギャラ天国
下積みでノルマを払う地獄から抜け出し、ギャラをもらえるようになった時の想いを綴った楽曲だ。ギャラをもらえる喜びと感謝を示した謙虚な姿勢が描かれており、性格の良さがにじみ出ている。
pellicule
今は亡き友人不可思議/wonderboyの「pellicule」をカバーした楽曲。「タイムマシンに乗って 先週に戻って1つだけ未来を変えていいって言われたら ロトシックス買わずお前に1本電話入れる 近々事故には気をつけろよ」など不可思議/wonderboyに向けたリリックにアレンジしており、どれほど大切な仲間だったかが伝わる。
神門はこれからも生き様を見せつける
神門は自分の経験を全て取り入れて楽曲にするラッパーだ。日常を描写することが多く、誰もが共感できるリリックも多いだろう。今回紹介した楽曲以外にもまだまだ心に響く曲があるので、ぜひ聴いてもらいたい。