フリースタイルダンジョン 般若 VS NAIKA MC "美学"か"リアル"か

MC battle


「フリースタイルダンジョン Rec5-3」

パンチラインフェチズが快進撃。
リーダーのNAIKA MCがラスボス般若との死闘を繰り広げた!

パンチラインフェチズは、昨年の「UMB GRAND CHAMPIONSHIP」を制したことでも記憶に新しいNAIKA MCをはじめ、崇勲、TKda黒ぶちを擁する実力派グループだ。

1stステージでは、漢a.k.aGAMIとサイプレス上野のタッグに崇勲とTKda黒ぶちがクリティカルヒットで快勝!

続く2ndステージでは、隠れモンスターとしてあの押韻の達人、FORKが登場。

血みどろの対決でNAIKA MCがなんとか勝利する。

3rdステージはDOTAMA、T-PABLOW、CHICO CARLITOの3人組にクリティカルヒットでパンチラインフェチズが圧勝!

4thステージでは高速ラップに定評があるTKda黒ぶちが、R指定とバチバチの1on1で死闘を繰り広げ、ラストステージへとバトンを繋げた。

前回の内容はコチラ↓
フリースタイルダンジョン ラスボス般若に到達!パンチラインフェチズの猛攻!

今回は、そのパンチラインフェチズのラストステージにフォーカスしたいと思う。

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般若 vs NAIKA MC


ラストステージの1on1では、リーダーのNAIKA MCがラスボス般若に挑む!
2本先取の殺し合いだ。

1ラウンド、NAIKA MCは男気溢れる先攻を選択。
あの重鎮グループ、RHYMESTERのB-BOYイズムが流れる。

1ターン目、NAIKA MCがまずはバースをスピット!
「決して譲れないぜ この美学 俺もやられたぜ B-BOYの文学」
とB-BOYイズムのリリックをサンプリングし、自身の気持ちをラップ。
この引用はやはりHIPHOP的!胸が熱くなる。

立て続けに「アンタがここのラスボスだろ 今日で看板はおろさせてもらうぜ」、「般若倒して ここを完全に淘汰」と魂のこもった言葉を放つ。

ラスボスを倒してやるという気迫がバシバシと伝わってくる。
韻を固く踏まないにも関わらず、言いたいことをビートにしっかり乗せ、心に響くラップをする。これがNAIKA MCの魅力だ。

 

般若は「246と環七 越えてきたぜ ここ今 新木場ageHaだ」とライム。
高いバイブスでギア全開。

NAIKAのフッド、「"群馬"」にかけて「この”文化”アメリカのもんだけどトランプ以上に ここは俺の城だ」と言葉遊びをしつつ、安定の迫力あるラップで反撃!<

この最初のバース

「お前にとっての真ん中 目の前にいるのがそう般若だ

246と環七 超えてきたぜ ここ 新木場ageHaだ

ようNAIKA お前の地元は確か群馬 この文化 アメリカのもんだけど

トランプ以上に ここは俺の城だ

小節のケツを”a”の母音で徹底的に踏み続ける固い韻。

 

2ターン目、NAIKA MCは246やトランプは関係ないと反論。
「あとはアンタだけだ アンタがいなくなりゃ 俺らの天下だ」
と気持ちのこもった迫真の言葉を吐き捨てる。

 

続く般若は1ターン目のNAIKA MCのラップを引き合いにし
「決して譲れないぜ この”美学” は? 譲れないよ この”リアル”」
と内容、韻を両立したパンチラインで襲いかかる!
崇勲を出せ!と揶揄しつつ、田舎モンだとディス。

 

3ターン目、「田舎モンが魅せられる現場」、「崇勲はいないんだよ 今 俺だよ アンタこそ”ブレ”んじゃねぇよ」と反撃。
そこから般若所属の同レーベル「昭和レコード」、SHINGO★西成の『ブレない』を引用し、「”ブレ”ずにやる SHINGO★西成 それの方が(般若より)ヤバくない?」と挑発!

 

般若は自身をSHINGO★西成の代打のバッターでチャレンジャーだと例え、隠れモンスターよりもオリジナルの自分を見ろと爆裂拳を食らわし、「ありがとうよ NAIKAくん」と冷静に吐き捨て締めくくる。

ラウンド1は気迫のNAIKAに固い韻、冷静かつも鬼のような重たいカウンターを確実にヒットさせた般若が勝利!

般若 vs NAIKA MC(2nd.ラウンド)

2ラウンド目、またもNAIKA MCはチャレンジャーらしく先行を選ぶ!
1ターン目「”ブレ”たくねぇしよ アンタの後攻なんか取ったって みっともねぇ奴で終わるだけだよな」と熱い自身のアティテュードを冒頭で示す。

そして「イカしたボディの心の真ん中を掴んで グラグラに揺らしてやっからよ」と放つ。(筆者はこのような褒めつつディスるスタイルが好きだ。)

 

1ラウンド目に反し、般若は落ち着いた口調で応戦。
「見てみろよ 客もお前の味方 だけど これからが俺の技」とここから激しい殺し合いが始まるような嵐の前の静けさを感じさせる…

 

2ターン目、NAIKA MCは「客の味方なんていらねぇんだよ HIP HOPが今 俺の味方をしてくれている」と反撃。
「アンタが一番おっさんの夢叶えてる」、「最高さ 般若 認めた上でアンタを越えていくのは 今しかねぇな」とここでも般若へのリスペクトを示しつつ自身の魂を見せつける!

 

「おっさんの夢 は?バカじゃねぇの」、「俺は自分のガキに夢見させてんだよ」ディスり返す。
「おっさんだけじゃねぇ ジジイ ババア 今から生まれてくる子供の分まで」とスケールが違うと堂々と宣告

続けて「この試合」、「殺し合い」、「掛け合い」、「生きがい」と怒涛のライミングで襲いかかる。(ケツを"i"で徹底)
そして、「お前は最高の”コンプラ”」とバッシバシのライミングを繰り広げる!
おそらく、ここのコンプラ部分は「”キチガイ”」だろう。

 

3ターン目、NAIKA MCは「ギドラにBUDDAに般若に狂ったのはアンタらのせいだと般若の"最ッ低のMC"をサンプリングし、アンサー!
("最ッ低のMC"のリリック「ギドラ ブッダ 雷 ペイジャー 俺が狂ったのは奴らのせいさ」)

そして、NAIKA MCは「どうしても勝ちてぇ相手がいるんだよ」と引き続き自身の勝ちたい気持ちを全面に押し出し、言葉を吐き捨てる!

 

応戦する般若は、「お前の熱い気持ちはもっと音源とライブとしっかり注いどけ」、「所詮はフリースタイルだけだろ」とフリースタイルを中心に活動するNAIKA MCの守備が手薄な場フィールドを口撃するも、迫真のラップでチャレンジャーらしさを失わなかったNAIKA MCが勝利!

般若 vs NAIKA MC(3rd.ラウンド)



そして、運命の最終ラウンド!

ここでもNAIKA MCは先攻を選択し、チャレンジャーらしさを失わない。

「確かにアルバムもライブも少ねぇかもしれねぇ」、「俺も今年はそこ攻めてくぜ」とアンサー。(NAIKA MCの新作、是非とも聴いてみたい!)

 

殴りかからんばかりの戦闘態勢である般若は、ライブやアルバムが根底にあり、フリースタイルはおまけだと揶揄!

しかし、「お前の試合は今までで一番楽しいぜ」と鼓舞!
「SN-Z お前も最高のDJ こんな音 こんなお客さん こんな言葉で俺たちが一番盛り上がる」とラップ!(最終ラウンドのSN-Zの選曲の素晴らしさ、このようにDJやお客さんにも気配りをする般若、さすがです…!)

そして、「もっと成りあがる」と般若が結ぶ。

 

2ターン目、さすがNAIKA MC。「アンタ これ以上 成りあがったら邪魔なんだよ」、「アンタ超えて 矢沢永吉になるのは俺の方だ」と矢沢永吉の著書『成りあがり』引用!(面白いですね、この流れ!)

そして、「じょうでも無理だった 崇勲でも無理だった 焚巻でも無理だった」、「無理ゲーだよ クリア出来ねぇよ」と同朋達を列挙し、いかにここで数々のチャレンジャーが固唾を飲んだかを列挙しつつ、今回はNAIKA MCがモンスターを倒すんだ!とラップ。

 

続く般若は「俺に勝てるのは(矢沢永吉に対し)長渕剛ぐれぇだ」とアンサー!

デンジャラスなやり方 まるで輪入道(輪入道がフリースタイルダンジョンに参戦したときの揶揄)
【参考:フリースタイルダンジョン THEコンプラ合戦 輪入道VS漢】

「俺達が行く この日本を変えてく 島国の様」と迫力あるライミングで応戦!
ここの"島国"は輪入道の音源「徳之島」をリンクさせてるのかな。

 

3ターン目、NAIKA MCは「この島の中で育ったHIP HOP アンタ達だよ」、「全員で作り上げたHIP HOPは確かにある」と前置き。
「いつまで経っても般若超えられねぇようなら 俺ら世代はそこまでだ」、「今 この現場で勝ってやるぜ 金字塔を打ち立てる」とここでもNAIKA MCは勝ちたい気持ちをバシバシと打ち込む。

 

そこに般若は「敗北を教えてくれ 俺は勝利なんかいらねぇ 今 ここで生きている その実感だけがありゃいい」とアンサー!(詩的ですね…!筆者はこういった達観した詩的な表現を好む。)
立て続けに「これが日本”人”の誇り この気持”ち” 何が気落ちい”イイ”?」、「お前と感じあって削りあってる この”命”」とまたも"i"の音で怒涛の押韻コンボで締めくくった!

 

結果、気迫あるバイブスを最後まで保ち、内容、ライムともに圧倒的な実力を見せつけたラスボス般若がクリティカルヒットで勝利!

最後はNAIKA MCと熱く抱擁。(ここで泣きそうになる筆者。)

パンチラインフェチズの一連のチャレンジは、本当に歴史に刻まれるほどの大健闘だったと思う。

また、前回放送までの攻防戦中では、特に4thステージの「TKda黒ぶち VS R指定」の死闘が手に汗握るものだった。

あんなにTKda黒ぶちがかっこいいと思ったことがない!

そして、ラストステージのNAIKA MCは、ダンジョンをクリアする実力は十分にあったが、ラスボス般若の圧倒的なスキルと気迫に惜しくも阻まれた。

筆者の気持ちを述べるならば、2ラウンド目で「客の応援はいらない」とNAIKA MCがラップしたところが非常にもったいなかった!
ここで客をさらに味方に引き込みつつ、高いバイブスで最終ラウンドを迎えて欲しかったと思う。

しかしながら、審査員のいとうせいこうも言っていたが、”泥だらけの農民が織田信長を指しているみたいな凄さ”が例えとしてすごくピッタリだった。
百姓一揆を応援したくなるような夢を与えてくれた、NAIKA MCはじめ、パンチラインフェチズのメンバーに_大きな拍手を送りたいと思う。

またリベンジで戻ってきてくれるだろう!

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