日本の音楽シーンに数々の功績を残し続ける沖縄出身アーティスト達。
J-POPで言えば安室奈美恵、DA PUMP、三浦大知などが有名どころだが、日本語ラップ界では何と言ってもフリースタイルダンジョンでも活躍したCHICO CARLITO(チコ・カリート)と言っても過言ではない。
だが、沖縄にはもう1人欠かせない人物が存在する。その名は唾奇(つばき)。
CHICO CARLITO同様に今後の日本語ラップ界を担う逸材とされており、今やクラブシーンのみならずあらゆるイベントに引っ張りだこな人気者である。では、唾奇というラッパーはどんな人物なのだろうか?代表楽曲とともにご紹介していこう。
ゲットー育ちの唾奇(つばき)って?
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沖縄那覇市(寄宮)で生まれ育った次世代ラッパー"唾奇"。現在も沖縄を拠点に音楽制作を行なっているが、唾奇の魅力は心地よい独特のフローに加え、思ったことをつつみ隠さず発信するリリックが最大の武器である。また、長年一緒にタッグを組んできたトラックメイカー&プロデューサーのSweet Williamが創るメロウなサウンドが上手く融合され、HIPHOP中毒者に更なるスパイスを与えていると言ってもいいだろう。
前述でもお伝えした通り、同じ沖縄出身のCHICO CARLITOとも親交が深いわけだが、CHICO CARLITOの1st album「Carlito's Way」に収録されている"一陽来復 feat.CHOUJI,唾奇"は、唾奇の音楽人生を大きく変化させた楽曲。本人も後に"分岐点"であったと語っている。
(出典:CHICO CARLITO/一陽来復 ft.CHOUJI,唾奇 Beats by Sweet William)
唾奇の歩んできた道
そんな唾奇は、男にだらしない母親に早くから見捨てられ、姉はシンナーを吸うという壮絶な環境の中で育ってきた。幼き頃は、お婆ちゃんと一緒に暮らしてきたことを明かしており、姉が連れてきた彼氏の影響でHIPHOPの虜に。ちなみに、一番最初に衝撃を受けたのはキングギドラの"トビスギ"だったとのこと。まさにブッとんだ人生...。ちなみに、ラッパーになる前はダンサーだったのはあまり知られていない事実である。
(出典:唾奇 × Sweet William 最強コンビの出会いを語る
欠かせない相棒"Sweet William"との出会い
心地良いグルーブ感とリアルなリリックが刺さる唾奇の楽曲。その裏にはSweet Williamの存在も欠かせない。まさに最高の相棒とも言えるSweet Williamと創り上げた大人気アルバム「Jasmine」は、色んな仲間達と共同生活した604スタジオで製作したと公言している。ここは、ホームレスにもなった唾奇を救った場所だが、そもそもSweet Williamとの出会いは唾奇が働いていた国際通りのバー。たまたま旅行で通りかかったようだが、このタイミングで出会わなければ今の人気ぶりはなかったとも言えるだろう(この時、SHUREN THE FIREの曲がBGMとして店に流れていたから立ち寄ったそうだ)。
また、唾奇とSweet Williamが所属するクリエイター集団"Pitch Odd Mansion"のボスである國枝 真太朗は、唾奇が関わる多くの楽曲のMVを製作している。
唾奇 × Sweet William / Jasmine
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オススメしたい唾奇の楽曲ベスト5
ストリートで育ってきた人間に染みるリアルなリリックが売りの唾奇。リリースされる楽曲は全ていいのだが、まだ唾奇を知らない方のために、オススメしたいマストソングをお届けしよう。
「Let me feat. CHICO CARLITO」
ご存知、CHICO CARLITOとSweet Williamという最強の3人が集結した楽曲(アルバム"Jasmine"に収録)。まさに沖縄の風景をそのままリリックにしたのが印象的だが、唾奇の「うるまに火着け歩く歩道 高級車助手席のあの顔 子供抱くヤー マイク握るワー 分岐する道 幸あれ」は特にそれを感じさせる。また、Sweet Williamの狙いでもあるアウトロ部分のメロディアスな転換にサブイボ!
(出典:唾奇 × Sweet William - Let me feat. CHICO CARLITO)
Cheep Sunday
MCバトルの最高峰とも言える"罵倒"や"戦極"のバトルビートや、KEN THE 390の楽曲も手掛けるトラックメイカーhokutoとタッグした一曲。Sweet William同様にドライブのお供になりそうな緩めのビートに唾奇の熱いリリックがガツンと入ってくる。ちなみに、このCheep Sundayはhokutoのアルバム"AMATEUR RHYTHM"に収録されているのだが、なんと全楽曲MPCだけで製作している...MPCだけでここまで完成度が高いはヤバい。
(出典:hokuto - Cheep Sunday feat. 唾奇)
all green
「ビートモクソモネェカラキキナ」でお馴染みの楽曲プロデューサー"DJ RYOW"とのコラボ作品。楽曲を聴けばわかるが、リリックの所々に「ドラッグ」「葉っぱ」「シャブ」といったキーワードが散りばめられている。そう、これは薬物によって亡くなった同い年の仲間に捧げた曲なのだが、"Rest in peace この歌詞はお前へのAnswer"というフレーズはなんだかグッと来るものがある...。"all green"は、DJ RYOW10作目のアルバム「NEW X CLASSIC」に収録。
(出典:DJ RYOW『all green feat. 唾奇』【Music Video】)
ame(feat.MuKuRo)
こちらは日本一周するラッパーとして知られるHANGとともにZion.T「No Make Up」のトラックをPARKGOLF Remixに仕立て上げ、glitsmotelとして2017年にリリース。等身大のリリックが話題を呼び、時を経て2020年TikTokで再び人気になった。HOOK部分のリリックは10代の若者たちに刺さっているようだ。
「love me 空には星
笑い 泣いてマジ(街?)
このままでいいかなって
本日は雨のち雨
そのままでいいさなんで
Monday to Sunday
たまに病んで いつもがOne day」
(出典:HANG & 唾奇 - ame。feat. MuKuRo (PARKGOLF Remix))
愛のままに
こちらは韻シストのBASIによる楽曲にfeatとして参加したものだが、これまた名曲。ルーズかつラフなトラックが緊張感のある日々を送る社会人たちの心に響いてる。なお、YouTube再生回数は2020年9月に1000万再生を記録。唾奇とBASIのタッグは本当に最強です。
(出典:BASI / 愛のままに feat.唾奇 (Official Music Video))
唾奇はやっぱり生で感じるべし!
圧巻のゲリラライブも伝説に
ここまで唾奇について色んな情報をご紹介してきたが、やはり音源ではなく彼を知るならライブが一番!唾奇のライブには以前から定評があり、歌だけではなくMCとしてのパフォーマンスも見逃せない瞬間である。というか...クラブイベントに登場すれば多くのファンが押し寄せるほどの人気ぶり。例えば、2018年6月14日に突如始まった渋谷のゲリラLIVEでは、予想を遥かに超える観衆が集まり、なんとバビロン(警察)が出動する事態までに。動画を見ればお分りいただけるだろうが、どこまでも人、人、人!約20分で終わってしまったが、盟友"Jinmenusagi(通称:ジメサギ)"、kiki vivi lily(キキビビリリー)も参加するなど伝説を残す一夜となった。
(出典:唾奇 ゲリラ)
沖縄でのライブ映像もダイジェストverで公開中
2020年2月21日に開催された唾奇主催イベント「HITO-BASHIRA ROMANTIC@G+Okinawa」のダイジェスト映像も公開中!WILYWNKAや仙人掌など、豪華な面々が集結した一夜は映像を見れば分かる通り大盛況に終わった。これ見に行けた人、羨ましい限り...。
(出典:唾奇 presents "HITO-BASHIRA ROMANTIC" 2020.2.22 Digest)
最新曲も要チェック!
2020年8月には初のソロ名義となるアルバム「道-TAO-(すでに盤として2018年にリリースされた一枚)」のストリーミング配信が解禁したが、新たに「Lycoris Sprengeri -紫狐の剃刀-」が収録された。こちらはTOCCHI(FinalWeaponCompany)とVIGORMAN(変態紳士クラブ)がfeatで参加しているが、爽やかなトラックに唾奇特有のリリック、TOCCHI、VIGORMANの声が心地良い仕上がりになっている。
(出典:唾奇 - Lycoris Sprengeri -紫狐の剃刀- feat. VIGORMAN & TOCCHI (Official Music Video)
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