東海喰種「THE GREEN MILE」はリスナーを食らうモンスターアルバム

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東海喰種は、名前の通り東海地方出身のラッパーで構成されているクルーだ。最近は、東海喰種やジャパニーズマゲニーズのようにソロでも人気のある実力派ラッパーが集まったグループが地元を盛り上げるムーブが見られるようになり、ヘッズとしてはかなり気持ちが上がる日々だ。

今回は、東海喰種のMVを紹介しながら「THE GREEN MILE」のカッコよさをお伝えしていこうと思う。

東海喰種が奏でるハスラー

東海喰種(トウカイグール)は梵頭・BASE・CROWN- Dという、東海地方出身の1985年生まれのラッパーで構成されたユニットだ。

クッシュ(マリファナ)とかけてトウカイクッシュと呼ぶこともある。

2019年に「東海喰種」を発表し、アングラ感の強いトラックとリリックは多くのヘッズを沸かせた。

血で血を洗うクリムゾンリバー

身の毛もよだつサイコパスゲリラ

震えて待て 枕を濡らせ

夢にまで出てkill

まだまだmurder 

※耳コピのため正確な歌詞とは異なる可能性があります。

ユニット名の元となったと思われる、「東京喰種」のようにダークな世界観は現在のシーンの主流とは違った個性を持つ。

サイコスリラーのようなリリックを引き立てているのは、p1 a.k.a. 2gのトラックだ。不思議で禍々しさも感じる世界観と骨太なサウンドが魅力で、BASEも所属するJET CITY PEOPLEの呂布カルマとの共作でも知られている。

黒づくめのファッションではスリングライムをすると、ともすれば90年代後半のラップっぽくなってしまう。

もちろん東海喰種も、そのバイブスは継承しているが古臭くならないのは、メンバーがまさに今の日本語ラップシーンを生き抜いてきたからだろう。

AbemaTVのHIPHOPチャンネルに出演した時のパフォーマンスもさすがの貫禄だ。

東海を代表するハスラーが待望のアルバムを発売

そんな東海喰種の世界観を堪能したいヘッズに朗報が飛び込んできた。1stアルバム「THE GREEN MILE」の発売だ。

THE GREEN MILE

東海喰種 EPISODE1「THE GREEN MILE」

〜13階段からのGUIDANCE〜

HIKIGANE SOUNDオフィシャル

配信/サブスクはこちらから

 

9月6日に販売されているので、すでに楽しんで聞いている人も多いかと思うが今一度アルバムについて触れていきたい。

THE GREEN MILEはもちろん映画のタイトルでもあるが、スラングで「マリファナを買うための距離や道程」という意味を持つ。

収録曲「Shall we smoke」では、彼等がブーンバップに乗せてマリファナを愛する気持ちについてラップするオールドスクールスタイルなチューンだ。

曲はじめと終わりに聞こえるお経のようなリズムは、よく聞いてみると「大麻一服ちょうだい、ちょうだい」「憲法改正お願いです。大麻吸ってもいいんじゃないの」と言っていて面白い。

ちなみに大麻は麻薬取締法で、医事法の管轄だ。もしかしたら、なんらかの意味が隠されているのかもしれないが、そういった粗さも魅力に映る。

個人的に今回のアルバムで一番好きなのがこの「絶倫忍者」だ。

琴のような和楽器のサンプリング音から始まる不穏なトラックに、細かくマイクリレーしていくリズミカルなラップは否が応でも上がってしまう。

テクニック抜群 ヒィヒィ言わせるmy rule

俺しか知らない勝つパターン

We are ミュータントタートルヘッズ

ah 悪い手癖 女癖 on the set(BASE)

 

寄り付く野郎は構えて様子見

寄り付く女性は建前上手に

まぁ1本、まぁ1本

欲しがるビッチはnasty booty.

ホテルはしごでマラマラソン

お互い裸で鼻から吸おう(CROWN-D)

 

くノ一忍法帖 隠密行動

心臓音 刻むビート上スパンキング

絶頂へナビゲート 禁じてのバリエーション

理由なんて1つ 自分勝手の四十八手(梵頭)

かっこいい曲だな、と思ってよく聞いてみるとセックスのことをラップしていて「なんかキエるマキュウみたいだな・・・。」と懐かしい気持ちになってしまった。

メンバーはバトルでも活躍した85年式叩き上げ

東海喰種のメンバーは、それぞれ違うクルーに所属している。

梵頭

梵頭は岐阜県岐阜市が地元で、HIKIGANE SOUNDの柱だ。

ソロでもアルバム「2007」をリリースするなど、精力的に活躍している。

渋いビートにリアルな言葉を乗せるスタイルはそのままで、どんどん進化していることが「TO THE NEXT」からも伺える。

 

BASE

BASEは静岡県出身で、現在はJET CITY PEOPLEの一員として名古屋を拠点に活動している。

ハスキーで低い声は特徴的で、いわゆる「黒いラップ」の迫力を引き立てている。

梵頭とのバトルは戦いというよりコラボライブのようで、どれだけ相性がいいかが分かるようだ。

CROWN- D

他の2人もそうだが、CROWN- Dもフリースタイルバトルでも活躍している現場叩き上げラッパーだ。出身は愛知県名古屋市で、DRAMASICKクルーを率いている。

もちろん音源でも率直な気持ちに向き合う姿勢は変わらず、アルバム「NO FUTURE」はこれまでの半生や、仲間やお金などについて突き詰めて考えたことをリリックにしている。

現代のトウカイテイオーの動きを見逃すな

今回ご紹介したMVからも分かるように、東海喰種は自分たちのルーツである東海エリアの街の魅力を凝縮して届けている。

今のところライブなどの予定があるかどうかは分からないが、HIKIGANE SOUNDは音源やライブの準備を進めていて来年以降動き始める計画を立てているそうだ。

もしかしたら、東海喰種のライブも開催されるのかと期待してしまう。

それまで「THE GREEN MILE」を繰り返し聞いて現場に備えよう。9曲目の「END ROLL 」には、〝東海の妖怪〟PERSIAが客演として参加していているので要チェックだ。

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