昨年、「不気味の谷/キャプテン隊長」で10年振りに活動を再開したスケボーキング。
本日1月28日に「キャプテン隊長」のMVを公開した。
不気味の谷に続いてのMVとなるが、往年のファンも嬉しいとある仕掛けがなされている。
「キャプテン隊長」のMVもSHIGEOが自ら監督
まずは、公開されたばかりの「キャプテン隊長」のMVを見て行こう。
以前からのヘッズだったら、この車が登場した時点で「おっ」と思うかもしれない。
バックトゥザフューチャーに登場するタイムマシンのベースカーでもあるDMC-12(通称デロリアン)は、「Child's Replay」にも登場していたあの車だ。
「キャプテン隊長」のMVにも、「Child's Replay」のシーンが挟まれるが、20年の歳月を越えてあのアタッシュケースの正体が明かされる。
「不気味の谷」に続きMVの監督を務めたSHIGEOの解説も公開されている。
まずはじめに、スケボーキングのミュージックビデオは、デビュー当初から僕の中でこんなイメージを持っていました。
出来るだけ楽曲と関係ないシチュエーションでメンバーと小芝居しながら、偶然にも楽曲の歌詞とシチュエーションでの口の動きがうまくハマっていて、そいで隙あらばスーツを着ていたい。(数本の例外もありますが)レーベルがワーナー・ミュージック・ジャパンだった頃、MVについてのミーティングで今回はこんなのがやりたい!と皆んなに伝えた時は、幾度となく会議室が静寂に包まれ、無音に近いため息がそこかしこから漏れていたのをよく覚えています。当時のスタッフの皆様、メンバーの皆、そしてMVを撮ってくれた監督の皆様、僕の無茶ぶりにもよく耐えていただき、大変なアイデアをしっかりと形にしてくれたことにこの場を借りて改めて感謝の気持ちを伝えさせていただきます。
その様な若かりし頃の経験を経て、大人になった自分がこうして自らMVを監督する機会を得たわけですが、この「キャブテン隊長」のミュージックビデオは、いくつかの奇跡と呼べる様な偶然にも恵まれて誕生することができました。
まず遡る事20年前、「Child’s Replay 」と言うシングルのMVを撮った時、当時の自分はどうしてもデロリアンに乗りたいという思いに駆られておりました。
アタッシュケースを持ったスーツの男2人がデロリアンを運転するも、マニュアルモデルのためにギアチェンジが覚束ず、商談で駐車した地下駐車場から坂道発進ができずに、出庫待ちの車がどんどん後ろに詰まってきて煽られて、メキメキてんぱっていく…、そんなPVにしたいです!!というアイデアを監督にぶつけたところ、「デロリアンはお持ちなんですか?」「いや、持ってないです。ただ好きなだけです。」そんな身もふたもないやり取りと沈黙が幾度か繰り返され、結局その時は何も決まらないままいたずらに時間だけが過ぎていきました。
しかしそのまま諦めきれず、何か策はないものかと調べてみると、インターネットで「DeLorean Owners Club Japan」なるサイトを見つけて、思い切ってBBSで事情を説明しさらに自分のデロリアン愛を書き込んだところ、なんと自分のデロリアンを貸してあげても良いという、最高に素敵で奇特な方が現れたのです。人間諦めなければなんとかなる。そんな大切なことを学びつつ、デロリアンとDragon Ashの皆んなが登場したあの「Child’s Replay」のMVが完成したのです。
それから10年の時が経ち、スケボーキングは解散しました。
ちょうどその頃、自分の父親が経営するゴルフショップがテナントで入っていたビルの建て替えに伴い、同じ丸の内の別のビルに移転することになりました。
移転先の父親のお店を尋ねると、見覚えのある地下駐車場、急なスロープ、、、強烈な既視感に襲われたのです。そこはなんと「Child’s Replay」の撮影が行われたビルでした。
それはスケボーキングへの懐かしい思い出を辿るような偶然の出来事でした。
それからさらに10年の時を経て、再びスケボーキングをやれるチャンスが巡ってきたのです。
そして2020年の12月、スケボーキング12年ぶりの新作「不気味の谷」と「キャプテン隊長」の両A面デジタルシングルをリリースしました。
さらに新たな挑戦として、この2曲のMVの監督・編集を自ら手がけることにしました。
1作目の「不気味の谷」のMVはほんの思いつきで、あの大好きなヒップホップ・バンドのMVをオマージュしてやってみようと思い立ち、撮影時間なんと15分で、編集も初めての経験だったので手探り状態で仕上げた作品でした。
そして、「キャプテン隊長」のMVを構想した時、再びデロリアンへのあの頃の思いがふつふつと湧き上がってきました。
20年前と同じあのビルはそこにある、でもタイムマシンが無い…
待てよ、数年前、イケてる先輩(某有名カメラマン)が、たまたまアメリカでデロリアンが出てきてじゃあせっかくだからいただこうかって話してたのを思い出して、「デロリアンまだお持ちですか?」と聞いてみたところ、「あるよ」の一言が返ってきたので、歓喜して「1日レンタルしたいのですが可能ですか?レンタル費用は??」とたたみかけると、「いいよ貸してあげるよ、お金?いらないよ」となんとも優しい言葉を返してもらいました。
こうしてスケボーキングは再び20年の時を超え、再びアタッシュケースを持ちデロリアンに乗り込む事になったのです。
「Child’s Replay」のMVで契約に失敗したスケボーキングが、20年間あのアタッシュケースに何を格納して時空を超えずに旅してきたのか、是非その見所を楽しんでくださいw
「不気味の谷」に引き続き、監督と編集をやらせていただきましたが、初心者パルクール綱渡りに付き合ってくれたレーベル「Things」のスタッフ,デロリアンでチャンスをくれた晃先輩。
草野球の帰りに来て、最初の2カットだけ出演して、あとはレーベルオーナーの助手席で撮影放棄してずっと寝ていたMASH君。撮影2日目に急遽カメラマンをひきうけてくれた高校の同級生で俺にベースを教えてくれて音楽やるきっかけをくれた斉藤くん(彼は後に東映に入り、プロのカメラマンなっていたのです。何の因果か30年後に今度は僕に動画編集のアドバイスをくれました)。年末のクソ忙しいタイミングで擦りの撮影に付き合ってくれたSHUYAくん。20年前と変わらず相棒を務めてくれた SHUNさん。
これらの奇跡と偶然が味方してくれこの作品ができました。
皆んなのサポートのおかげです。どうもありがとう。
因みにタイトルのキャプテン隊長の由来は、なんかの弾みでリーダーになってしまい
ファミレスでメニュー決めるのがくそ遅く、器じゃないのに頑張って、最後の最後で逃げるおじさんがモデルです。
では皆さん20年間あまり変わってない、そのまんまのスケボーキングを楽しんでください。
ユニークな世界感が魅力的なスケボーキングのMVは、こうやって作られていたのかとワクワクしながら読んでしまった。
「あるよ」の一言が返ってくるところで笑ってしまった。ドラマHEROのあの場面にいるSHIGEOを思い浮かべてしまう。
タイムマシン(デロリアン)を使ってかつてのMVにストーリーが繋がるなんて、なんとも心にくい演出ではないか。
大人になったヘッズも、最近スケボーキングを知った若い世代もそれぞれ違った楽しみ方ができる作品となっている。
不気味の谷のMVも合わせてチェック
「キャプテン隊長」のMVを見たら、昨年12月に公開された「不気味の谷」も一緒にチェックしてみよう。
わずか15分で撮ったというこちらは、ゆるい感じがカッコいいビデオだがビースティ・ボーイズのShake Your Rumpをオマージュしている。
ビースティもスケボーキングもかっこいいな~と改めて思ったが、こういった楽しみ方ができるのはヒップホップ的だ。