多くのヒップホップヘッズを唸らせ続ける男。ラッパーNORIKIYO。2019年にはオジロザウルスのMACCHOとフューチャーリングして「俺達の唄」をリリース。彼は日本語ヒップホップシーンを語る上では欠かせない存在だ。これほどまでにヘッズを惹きつけるNORIKIYOという男は一体どのような人生を歩んできたのだろうか。
NORIKIYOという男
本名:上野きよのり
アーティスト名:NORIKIYO
生年月日:1979年12月12日
出身:神奈川県相模原市
レーベル:諭吉レコーズ
本名からも分かる通り、MC名の由来は名前からきている。ちなみにRYKEYもNORIKIYOと同じ誕生日12月12日だ。
スケボーからヒップホップシーンへ
中学三年生の時にスケボーをはじめ、スケボーの動画が好きでよく見ていた。その時にたまたま動画で使われていた音楽が「DE LA SOUL」で、それがNORIKIYOとヒップホップの出会い。
そこからヒップホップにハマった彼は映画「JUICE」の影響でターンテーブルを買い、DJを始めた。その当時NORIKIYOはK-NEROという名前でトラックメイカーとして活動していた。
伝説のグループSD JUNKSTAを結成
地元の仲間とともにSD JUNKSTAという名前のグループを結成した。Bron-kやKYN、TKCなど個性的なメンバーがいる中、NORIKIYOはリーダーを務めた。SD JUNKSTAのCDが現在中古市場でプレミア価格で取引されていることからもSD JUNKSTAがどれほど人気か分かる。
ソロアルバム「EXIT」にまつわるエピソード
SD JUNKSTAとしてアーティスト活動を始めたNORIKIYOは2007年にはソロアルバム「EXIT」をリリース。このアルバムはプロデューサーのBeach Logicや、I-DeAから楽曲の提供を受けて制作されたものだ。このアルバムにまつわる有名なエピソードを一つ紹介する。クラブで喧嘩をして相手に怪我をさせてしまい、警察に通報されたNORIKIYOは警察から逃げるために窓から飛び降り逃走します。しかし、飛び降りたその高さがビル4階に匹敵する高さだったため、NORIKIYOは背骨と両足を骨折して、医師から一生車椅子生活になることを覚悟してほしいと宣告されてしまう。治療を終えて歩けるまでなんとか回復したNORIKIYOはこれまでの生活から脱却したいという思いを込めて「EXIT」というアルバムを作成した。
このソロアルバムはTHE SOURCE誌の「ベスト・オブ・ジャパニーズラップ2007」にも選ばれ、日本国内の多くのwebマガジンでも年間最優秀アルバムに選定されている。
自分を貫くスタンス
NORIKIYOのラッパーとしての生き様は硬派で、馴れ合いや流行に流されないスタイルだ。ヒップホップカルチャーを誰よりも大切にし、”フェイク”なものは批判する。そんなNORIKIYOのスタンスが災いし時としてbeefに発展することも多々あった。QNやZEEBRAなどのラッパーとbeefになったこともあったが、NORIKIYOのbeefはどれもリスペクトのある意見だった。相手の才能を評価しているからこそ、相手に意見するNORIKIYOの相手、そしてヒップホップに対する愛がそこには感じられる。
2019年にリリースされたアルバム「平成エクスプレス」
通常のラッパーが数年に一度のペースでアルバムを制作するのとは違い、NORIKIYOはコンスタントに毎年アルバムを出している。アルバム制作ペースは他のラッパーと比べてもかなりのハイペース。しかも、一曲一曲にしっかりとしたメッセージが込められている。
2019年に出した「平成エクスプレス」はNORIKIYOの生きた平成という時代を締めくくり、新しい次の時代へ歩を進める意志を込めたものだ。アルバムの中でもかなり注目を集めたのが、オジロザウルスのMACCHOとフューチャーリングした「俺達の唄」だ。
PVは、どこか懐かしい雰囲気を感じられるエモーショナルな構成で、現代人に対する批判を込めたリリックはとても心に刺さる。特に、NORIKIYOの
『スマホの画面っての撫でては眺め 誰かの暮らしそれを除いても変わんねぇ Lifeって名前のさその映画の主役はお前に決まってんじゃん そりゃ明確』
というリリックは、SNSばっかり見てるんじゃなくて、自分の人生を生きろというメッセージを感じられる。
hookの部分
「生まれたこと自体に意味なんてない けどもしも欲しいんなら付けちゃいなよ 世界で今日お前はねここにしかいない そのお前の事を教えちゃくれないかい?」
生きる意味と己の存在価値について考えさせられる。
絶対に聴くべきNORIKIYOの名曲
ここでは絶対チェックすべきNORIKIYOの名曲を紹介していこうと思う。
Beats&Rhyme /MACCHO , NORIKIYO , 般若& DABO
MACCHO , NORIKIYO , 般若、DABOと日本語ヒップホップシーンを引っ張ってきたラッパーたちの魂を込めた楽曲。
Beats&RhymeのビートはMCバトルなどでもよく使われている。シンプルなビートにタイトにライムを吐く姿は本当にカッコイイ。
Englishばっか 重症だな
代わりにこう言う「ご愁傷様」
謎のものさし 日本語ラップ
んで、あいつはいいとかあいつはバツ
そりゃ狭すぎじゃねってはみ出しちゃう
中指立ててやる 既存の枠
これヘイトじゃないんだ せめてもの感謝
俺なりのラブ 言いてえこと乗せビートに吐く
これ至ってシンプル 俺のバース
というNORIKIYOのリリックはNORIKIYOのラッパーとしてのスタンスが最も現れている。
一網打尽 (REMIX) feat. NORIKIYO,SHINGO★西成, 漢
韻踏合組合の一網打尽をリミックスした楽曲。YouTubeの再生回数は現在1700万回と驚異の数値。MCバトルでも使われる有名なビートの上で、NORIKIYOの一切無駄のない完成度の高い16小節を聴き逃すな。
まとめ
今回は日本語ラップシーンを引っ張り続けるNORIKIYOについて紹介した。
NORIKIYOは楽曲だけじゃなく、ライブパフォーマンスもかなり魅力的なので、NORIKIYOを聴いて心に響いたヘッズの方にはぜひライブに足を運んでもらいたい。コンスタントに楽曲を制作し続けるNORIKIYOの今後にも期待していきたい。