6月9日にKMがファン待望の2ndアルバム「EVERYTHING INSIDE」をリリースした。
ここ数年、楽曲のクレジットで名前を見ることが増えたトラックメーカーKM。これまでも、BADHOPやKANDY TOWN、SKY-HIなどのメジャーなHIPHOPアーティストへの楽曲やAbemaTVのオーディション番組「ラップスタア誕生」のトラックを手掛けてきた。
最近では、フロア・バンガーやダンス・チューン、Chilloutにぴったりなメロウなトラックなどアーティストの特徴を最大限活かすトラックを制作。
5月12日にはシングルとして JJJ と Campanellaをフィーチャーした「Filter(feat. JJJ & Campanella)」、5月29日には田我流をフィーチャーした”Distortion (feat. 田我流)”が先行配信されており、ヘッズの間ではアルバムへの期待がかなり高まっていた。
今作の「EVERYTHING INSIDE」では、客演にDaichi Yamamoto、(sic)boy、LEX、JJJ、Campanella、田我流、C.O.S.A.、SPARTA、Kvi Baba、Lil' Leise But Gold、MANON & HNC、NTsKi、Taeyoung Boyを迎え、バラエティーでボリュームのある作品に仕上がっている。
今作のかっこいいカバーアートは、ヨーロッパを代表する世界的なグラフィティー・ライターZEDZが手掛けている。また、マスタリングではUKメトロポリスマスタリングのStuart Hawkesが貢献した。
Track List:
1. MYPPL(feat. Daichi Yamamoto)
2. Filter(feat. JJJ & Campanella)
3. Distortion(feat. 田我流)
4. The Way(feat. C.O.S.A.)
5. blinded love(feat. (sic)boy)
6. Stay(feat. LEX)
7. Leave(feat. Lil' Leise But Gold)
8. What Is Love(feat. Kvi Baba)
9. Every Time(feat. MANON & HNC)
10. nothing outside
11. Nova(feat. NTsKi)
12. Family(feat. SPARTA)
13. EVERYTHING INSIDE
14. i(feat. Taeyoung Boy)
いつも聴いてくれてる皆さまにメッセージ🕊
アルバム通して聴いて頂けたら嬉しいです。 https://t.co/1QxFJUQ98V— KM (@KM_music_) June 9, 2021
今作はKMがじっくり時間をかけて制作した力作。こんなに豪華な客演を揃えられたのはきっと、幅広いジャンルを手掛けることができるKMだからなのではないか。
今回はKMによる2ndアルバム「EVERYTHING INSIDE」の魅力に迫っていきたいと思う。
2ndアルバム「EVERYTHING INSIDE」の魅力
MYPPL (feat. Daichi Yamamoto)
オープニング曲は、Daichi Yamamotoをフューチャーリングした「MYPPL」
重低音を響かせて開幕する今楽曲だが、あとから付いてくるメロディーラインがとても聴き心地がいい。
そこにDaichi Yamamotoのメロウなフロウが加わることによって、より心地いいハーモニーを生み出している。さらにKMのトラック音の強弱にDaichi Yamamotoが上手くフィットすることで抜群のメロディーラインが完成している。
Filter (feat. JJJ & Campanella)
JJJとCampanellaをフィーチャーした楽曲「Filter」
二人のラップでの掛け合いが絶妙で、聴いていると思わず踊りだしたくなってしまうダンスチューンだ。
この曲は、昨年11月にリリースされたJJJ「STRAND (feat. KEIJU)」のトラックをKMが手掛けたことがきっかけとなり、コラボが実現した。
今日発売のKM君のアルバム"EVERYTHING INSIDEに参加させて貰いました。おめでとうございます🎊🌏@KM_music_ https://t.co/xZHXZYYIY5
— soma (@__j_j_j__) June 9, 2021
Distortion(feat. 田我流)
5月29日に一足先にアルバムから先行配信されていた「Distortion (feat. 田我流)」
リリシストな田我流が日頃の鬱憤を晴らすようなラップを吐き出している今楽曲は、
フリージャズの混沌とした生音と歪み切った808が驚くほど調和していて、つい引き込まれる楽曲。
same walk same walk ゾンビめ 退いてろ
次のルネッサンス 描くドナテロ
OG サバイバー 万華鏡写輪眼 barsに閉じ込め チェンソー毎晩
Distortion Ft. 田我流 - KMhttps://t.co/Lv1G3GATZJ
2nd Album “EVERYTHING INSIDE”から先行リリースです。是非聴いてください。
色々書こうと思ったんだけど、とりあえず聴いてください!言葉で説明出来ない(笑)
リスペクト @dengaryu138 @maryjoyrec
いつもありがとうございます🙏🏻❤️🔥 pic.twitter.com/MoXASTEQGH— KM (@KM_music_) May 25, 2021
The Way(feat. C.O.S.A.)
C.O.S.A.の力強いラップとKMの重低音の効いたビートが合わさり、より一層迫力のある楽曲に仕上がっている。
C.O.S.Aは、6月8日にYouTubeにKMとの楽曲「Motown Man」のMVを公開したばかり。二人の信頼関係の深さが伺える。
blinded love(feat. (sic)boy)
これまでも、(sic)boyの1stアルバム「CHAOS TAPE」や、シングル「Akuma Emoji(Prod.KM)」などでも話題を呼んだこの二人のコラボ。
6月6日には、(sic)boyの2ndEP「social phobia」収録曲の爆撃機 (Prod.KM)をYouTubeに公開されたばかり。
今回の楽曲「blinded love」は、ビートの中にあえて空白の時間を作ることで、より(sic)boyの甘い声とメッセージが伝わるような構成になっている。
この曲を聴くと、改めて(sic)boyとKMの相性の良さを感じさせられる。
Stay(feat. LEX)
KMの繊細でメロディアスなトラックにLEXが持ち前の歌唱力を駆使してエモーショナルに歌い上げた一曲「Stay」
以前この曲のMVが公開された際にも紹介したように、優れた音楽性を持つ2人が作り出した世界観がなんとも心地よく、一度聞くと癖になってしまう素晴らしい一曲だ。この曲については、以下の記事で詳しく解説している。
過去の記事
KM - i feat. Taeyoung Boy
2020年5月にYouTubeにMVが公開されたTaeyoung Boyとの楽曲「i」
この曲のビートは、音と音の重ね方がかなり高レベル。重低音の中に軋むような音を重ねることで、楽曲の世界観が上手く表現されている。
MVの中には、KMも出演していてニット帽をかぶり、ヘッドホンをつけて音に没頭する姿がかっこいい。
旅人も立ち止まる様な 俺らを乗せた星という飛行船
近づいてはまた離れ 近づいてはまた離れ
何かに追われて価値を決める 壊れていくよなこの世界で
強度のある自身のスタイルを確立させた今作は必聴だ
驚くべき速度で楽曲制作し、HIPHOPシーンに次々と良曲を生み出すトラックメーカー・KM。2021年上半期は、特に楽曲クレジットにKMの名前を見ることが増えた気がする。
今回の2ndアルバム「EVERYTHING INSIDE」は、サウンド、リリック、MV、そしてジャケット写真、全てにおいて日本語HIPHOPの新機軸を提示するかのようなアルバムになっている。今回、ここで紹介した収録曲以外の収録曲もかなり聴き応えがあるので、必ずチェックしてみてほしい。
HIP HOPに根ざしながらも新しい領域に挑戦し、進化し続けるトッププロデューサーKMのこれからにもぜひ期待していきたい。