HIPHOPシーンにおいて時折見られるラッパー同士のディスり合いビーフ。
今回は、日本のHIPHOPシーンで起こったビーフについてまとめていきたいと思う。
HIPHOPにおけるビーフとは?
その前に、「一体ビーフってどういう意味!?」という方のために、ビーフについて簡単に説明しておく。
一体なぜ牛肉を意味するビーフ(BEEF)がディスり合いという意味で使われるようになったのか。その理由は、1984年にアメリカでファストフードチェーン店・ウィンディーズのテレビCMが原因と言われている。
ウィンディーズのテレビCMでは、他社のハンバーガーの肉の小ささを表現するために「肉はどこにある?」(Where's the beef?)と繰り返した。
このあまりにも挑発的な内容からビーフ(beef)という言葉が、相手を挑発したりディスる意味として使われるようになった。
ビーフの元ネタとなったウィンディーズのCMがこちら
過去には西海岸勢と東海岸勢のラッパーたちがディスり合い殺人事件にまで発展してしまい、ノートリアス・B.I.G.と2PACの2人が銃殺されてしまうという事件も起きてしまったほど。殺人事件に発展するケースはほぼ稀だが、ビーフは今やHIPHOPシーンとは切っても切り離せないものになってきている。
今回は、その中でも日本のHIPHOPシーンで過去に起こったビーフについて紹介していこうと思う。
K DUB SHINE とDEV LARGEのビーフ
キングギドラのK DUB SHINEとBUDDHA BRANDのDEV LARGE、アメリカでもラッパーとして活躍してきた日本語ラップを代表する二人によるビーフは、日本で一番有名なビーフと言っても過言ではないだろう。
このビーフが起きたきっかけは、K DUB SHINEの楽曲「来たぜ」の曲中の「そんとき初めて出会ったブッダ/バトルは俺が完全に食った」というリリックだ。
このリリックを見たDEV LARGEは匿名で「ULTIMATE LOVE SONG」という楽曲をweb上にアップした。この楽曲の中身は、紛れもなくK DUB SHINEへの痛烈なDisソングだった。
計9分間にも及ぶこの楽曲の冒頭の3分間は、ビートなしのアカペラでの痛烈なDis。後半の6分間が楽曲の部分で、トラックはThe Dogg Pound(ザ・ドッグ・パウンド)の「New York,New York」のトラックをほぼそのまま使用している。「ULTIMATE LOVE SONG」のサビの部分は、Capone&Noreaga(カポーン・アンド・ノリエガ)の「L.A.,L.A.」を元にして作っていることがわかる。
「New York,New York」と「L.A.,L.A.」はどちらもDisソングとして有名な楽曲であり、DEV LARGEがK DUB SHINEをDisるためにこの楽曲を制作したことが予想できる。
トラックの元ネタ(Tha Dogg Pound ft Snoop Dogg - New York, New York)
サビの元ネタ(Capone-N-Noreaga - LA, LA (feat. Mobb Deep & Tragedy Khadafi)
その後、K DUB SHINEがアンサー曲「1 THREE SOME」を発表。
この楽曲では、急にDisしてきたDEV LARGEへの問いかけと、ソロアルバムを出さないDIV LARGEへのDis返しだった。
この曲は、50CentのクルーG-Unitというグループの楽曲「Poppin' Them Thangs」のトラックを使用している。
トラックの元ネタ(G-Unit - Poppin' Them Thangs》
この楽曲に対し、DEV LARGEがアンサーとして「前略ケイダブ様」という曲で応戦した。これは、K DUB SHINEのアンサー曲「1 THREE SOME」を流しながら、その上でDEV LARGEがラップをするというもの。その歌の後に、「Ultimate Love Song pt.2」が始まる。
このビーフは、キエるマキュウのMAKI THE MAGICが逝去した事をきっかけに両者は和解を果たした。
2015年、DEV LARGEが急逝した後K DUB SHINEはSNS上で追悼の意を示した。
このビーフの重要なポイントは、日本語で「韻を踏む」という事に対して人一倍こだわりがあり、バイリンガルラップを否定してきたK DUB SHINEと、バイリンガルラップをするDEV LARGEの価値観がぶつかったことだろう。
TERIYAKIBOYSをDisったSEEDAとOKIの「TERIYAKI BEEF」
「TERIYAKI BEEF」この曲も日本のHIPHOPシーン屈指のDis曲だ。
このビーフのきっかけは、TERIYAKIBOYZが2019年にリリースしたアルバム『SERIOUS JAPANESE』の収録曲「SERIOUS JAPANESE」のHook部分の歌詞がSEEDAがOKIと一緒にリリースしていた楽曲「Sai Bai Men feat.OKI」のHookをサンプリングしたもので、SEEDAがTERIYAKIBOYZにディスられたと勘違いしてビーフに発展した。
当時TERIYAKI BOYZはワイルドスピード3の主題歌を担当するくらい有名で、TERIYAKI BOYZの楽曲の客演には、PHARRELL WILLIAMS(ファレル・ウィリアムス)や、KANYE WEST(カニエ・ウィスト)などが参加していた。
そのTERIYAKI BOYZを過激にDisる曲として発表したのが、「TERIYAKI BEEF」。
この曲に対し、TERIYAKI BOYZはアンサー曲は出さず、SEEDAをポッドキャストに呼んで対談という結果でこのビーフは幕を閉じた。
このように、ビーフは片方がディス曲を発表してもアンサー曲が返ってこないということも多い。ビーフが成立するためには、お互いがその気になる必要がある。
合計6曲も発表した長期戦!漢 a.k.a GAMIとDABOのビーフ
このビーフは、漢 a.k.a GAMIが所属しMSGの前身グループでもあるMS CRUの1stアルバム「帝都崩壊」に収録されている楽曲「幻影」でDABOに対してDISしたことがはじまりとなった。
特につまらんギャグラップに拍手喝采
スキル足りない 恥ずかしくない まだ分からない 気づかない
この「拍手喝采」のキーワードはDABOのシングル曲名。
その後、DABOが自身のアルバム「HITMAN」に収録されている楽曲「WANNABEES CUP 2002」の中でアンサー。
頭上に気配りな 遮断器に注意 カンカン!キケンだ下がってなお嬢ちゃん
ものかげで見守ってな血のShowtime
このアンサー曲に対し、漢a.k.a GAMIも「FREEKY 風紀委員 feat. DJ BAKU」でアンサーを返す。
免許もねぇのにハンドル握ったオートマ車は廃車
このDisは、車の免許を持っていないのにも関わらず「恋はオートマ feat. HI-D」のMVでハンドルを握ったり、DABOのアルバム「HITMAN」のジャケット写真で日本人ラッパーでありながら銃を構えるというリアルじゃない振る舞いを真っ向からDIS。
噂の札付きをひと突きで脅す
さらに自身の事をFudatzkeeと名乗っているDABOを「札付き」と表現する。
札付きじゃなくて札月な バッドボーイじゃなくてラップボーイなわけ そこわかってくれないと俺のシャレが生きてこん 二度美味しいやつですよ俺
— DABO (@fudatzkee) June 30, 2016
その後、DABOは、キエるマキュウがリリースしたアルバム「SUPER FREAK」の「BIG SHIT feat.DABO,YOUTH」に客演として参加し、漢a.k.a GAMIにアンサー。
呪いのバース攻撃のゴングかーん
お前のバースはお笑い草 近所のイランも売らん臭い草
さらに、2013年12月には「おそうしき feat .般若」でDABOは再び漢a.k.a GAMIをDis。
見ず知らずの自称風紀委員 扉越しになんくせ口火封切
待てどこのどいつだ小僧? ジュクのチンピラ?
知るかボケこのヤサは俺の陣地だ
黒ぶちの額がえらくお似合い だがその目は二度とは開かない
お前のボンクラクルーがわななく 棺が運ばれてくぜまもなく
アバヨBoy お達者でなMothafucka そのザマにカンカンカンだバカラッパー
DABOがこの曲をLIVEで歌っている最中に漢a.k.a GAMIがステージに乱入し、DABOに対してフリースタイルバトルを仕掛ける事態にまで発展したが、DABOは最後まで自分の歌を歌い続けフリースタイルバトルにはならなかった。
その後、漢a.k.a GAMIは、客演として参加したI-DeAのアルバム「self-expression」の「Ultimate Love Song(Letter)」で、DABOを挑発した。
マジで売るなら買うぜ買うなら売るぜ
ダサイ坊食う百獣の王ライオン
さらに2005年漢a.k.a GAMIのアルバム「導〜みちしるべ〜」の「Take candy from a baby」の中で、再びDIS。
何の捻りにもなっちゃいねえや 純粋にダサすぎるそのハマらない具合が
羽振りの良さはどのくらいか知らないが
フューチャリング無しじゃ返せやしない つまりそれがお前の答え
マジなヒップホップは文句があるならいつでもかかって来いが基本だろ
体の内側から蝕むまるでガン細胞のように痛めつける調理法
バンダナ巻いておもちゃの拳銃もってやたら調子こく
ゲス野郎は責任もってこの世から消す
見せかけだけのニセモノは生かしておけず
ダボダボのズボンと糞のついたパンツでも引きずり下ろして
SM見たく鞭で叩く青いケツ 百叩きじゃ済まさねえ
人とのフューチャーリングでアンサーを返したDABOの姿勢(般若との楽曲「おそうしき」)や、突然のフリースタイルバトルに乗らなかった事について徹底的にDIS。
お前の用心棒図体でかいだけで役立たずな田舎臭い木偶の棒
さらに、DABOの所属しているユニットのメンバーであるBIGZAMに対してもこのようにDIS。
DABOと漢a.k.a GAMIの長期に渡るビーフは、般若が仲裁に入ったことで、電話で和解することで終了した。
現在は、両者の関係も良好で、DABOはTwitter上で漢a.k.a GAMIへのリスペクトを示している。
漢は多分彼にしかできないやり方で初めての体験をさせてくれたかけがいのないマイメンです。初めてのビーフがあいつでよかったと思う。今日のライブもアホみたいにドープだったZ!( •̀ .̫ •́ )✧
— DABO (@fudatzkee) July 28, 2012
さらに漢a.k.a GAMIがMCを務める番組「漢たちとおさんぽ」で仲良く共演し、当時の事を振り返っていた。
殴り合いにまで発展したKNZZ vs 漢a.k.a GAMI
このビーフ日本語HIPHOPシーンでは記憶に新しい人もいるのではないだろうか。
このビーフのきっかけは、KNZZの1stアルバム「THIS IS DIS! feat.敵刺」の楽曲「ゴマするバディマンMSC」で漢a.k.a GAMIの所属するクルーMSCをDIS。その曲に対し、漢a.k.a GAMIは、番組「9sari STATION」でフリースタイルでアンサーを返す。
その後、KNZZは漢a.k.a GAMIの著書「ヒップホップドリーム」に落書きし、Instagramにアップ。
KNZZのこの投稿に対して、漢a.k.a GAMIはKNZZが電話に出ない様子をInstagramに投稿。
留守電メッセージをこのように残す。
おい鼻くそ お前朝かけても夜かけても電話でねぇってどういうことだよ。この野郎。おかまかよ!
くだらねえことインスタに上げてんじゃねえよ。おい!さっさと電話しろよ。
その後二人は池袋のクラブBEDで密室で密会し、一度は和解するも、18PRODUCTION主催のイベント「TOKYO NIGGAZ」にブッキングされた漢a.k.a GAMIをKNZZが挑発。このイベントは、漢a.k.a GAMIにとっては完全にアウェーな状況だったが、どんなに挑発されても漢a.k.a GAMIはフリースタイルでアンサーを返し続けた。
一方で、どんどん挑発をエスカレートさせるKNZZ。挙句の果てには痰を吐きかけ、漢a.k.a GAMIもこれには激怒。
このイベント終了後、KNZZはアンサーソング「Cry baby cry」を発表。
この楽曲に対し、漢a.k.a GAMIは、アンサーソング「って事だよね?」を発表。
この動画は、乱闘騒ぎからイベント終了時の様子、帰宅してお風呂に入るまでの様子を早送りした映像が公開されている。
動画の最後には、
信用できるダチは必要でも人には期待しないほうが無難だよ
と、HIPHOP経験値を感じさせるパンチラインを残した。
KNZZ陣営に乗り込み、マイクで白黒つけようとした漢a.k.a GAMIのかっこよさの光るビーフになった。
このビーフは、KNZZのレーベルの18PRODUCTIONがYouTubeに動画をアップしたり、Twitterで積極的な拡散を行っていることから、KNZZが売名を狙って仕掛けたのではないかと巷で話題になっている。
現在二人は和解していて、二人は「漢たちとおさんぽ」で共演を果たしている。
舐達麻BADSAIKUSH(バダサイ)とKENNY-Gのビーフ
このビーフのきっかけは、舐達麻のBADSAIKUSHとKENNY-Gで制作し、MVまで完成していた楽曲を、突然BADSAIKUSHが公開するのを嫌がったからとの事。
その楽曲がこちら
OUTLAW/BADSAIKUSH"舐達麻"Feat.KENNY-G"prod.GREEN ASSASSIN DOLLAR
KENNY-Gは暴力団と関係があるとも噂されており、BADSAIKUSHは警察に目をつけられる可能性を危惧したのかもしれない。
BADSAIKUSHのこの発言にKENNY-Gは激怒。インスタライブやストーリーでBADSAIKUSHに対する不満を漏らしまくっていた。
この争いに対して、阿修羅MICが話し合いを持ちかけたが、KENNY-Gは阿修羅MICのこの提案に対しても激怒。
HIPHOPを大切にするラッパーとして話がある
— 阿修羅MIC (@ashura_mic) October 18, 2020
その後、KENNY-Gがインスタライブで謝罪を口にしたことで、このビーフは収束した。
HIP HOPとは
奪い合うものじゃなく作り出すものです。
HIP HOPは俺たちの縄張りです。
皆んなで守って成長していきましょう。 https://t.co/GjUTmvzuvQ— 阿修羅MIC (@ashura_mic) October 26, 2020
この1件はやはり阿修羅MICが仲裁に入ったことで解決したのではないかと噂されている。この件に関しては、曲を出し合ってアンサーし合うようなヘッズたちの求めるHIPHOP的ビーフは実現しなかった。
二人で制作した楽曲は現在YouTubeに公開されており、再生回数1000万回を突破するなど、かなりヘッズの注目度も高かったこともわかる。
この美しいトラックは프리스타일の 「 Y (Please Tell Me Why)」をサンプリングしたもの。
さらにその大元ネタは、Sting - Shape of My Heartではないかと言われている。
このStingと言えば、Juice WRLDが「Lucid Dreams」でサンプリングしたことで、Sting側と揉めた話も有名。
突如始まったdodo vs サイプレス上野のビーフ
2014年に代官山UNITで行われた「YARIGASAKI MOST WANTED」でdodoがサイプレス上野とやけのはらに「殺すぞ」と言われたことがこのビーフの事の発端らしい。
そのことがきっかけで、dodoはYouTubeに「サ上死ね」というDis曲を公開。
ヨコハマシカフューチャリング サ上
オジロのお城で食べちゃう?subway
日本語ラップフューチャリング サ上
ジャケットはアナルマニアのサムネ
かなりストレートなタイトルで、MVもかなり攻撃的な内容になっている。
この曲に対してサイプレス上野は速攻で自らの遺影の写真と一緒に「サ上死んだってよ。」を公開。
童貞には強過いかな刺激 アンサー返すよりもfuckして良い?
俺には無いんだよ時間が GET BUSY!したいんだ忙しい自慢が!
今夜もDJ二本 明日もライブ二本の生活が基本
お前ネットで頑張れ今の所 で、一体どこのdodo?
曲の始まりでは、「おれ死んでる、死んでる?まじで」「ついに死んだか〜 まあ死ねって言われてたもんな」と、エンタテイナーらしい攻撃の交わし方を披露。
殺すと言ったことを謝りつつも、しっかりと皮肉で返すサ上の高等テクニックがすごい。何より、この楽曲を一時間半程度で書き終えてすぐアップに踏み切った事に驚かされる。
戦極MCBattle第10章ではNAIKA MCがサイプレス上野に勝って、サイプレス上野の着ていた上着をまとい、
あ、みんなに言っとくぜ サ上死んだってよ。おれこの戦利品がっつり狙う
とサンプリングされていた。
話を戻そう。
サイプレス上野の「サ上死んだってよ。」という曲が公開された後、すぐさま「m9(^Д^) dodo」を公開。
遺書を朗読 ありがとう されちゃう投獄
しただけ報復 死んで嬉しいよ幸福
このアンサー曲に対し、サイプレス上野はアンサーを返すことはなかった。
本人曰く、「おれの中では一撃で良いかな」と思っていたとのこと。
SNSから勃発したYZERRとRYKEYのビーフ
このビーフの事の発端は、2019年にYZERRがリリースした「 Back Stage feat. Tiji Jojo」がMarshmello × Roddy Ricchの 「Project Dreams」に似ていることをRYKEYが批判したこと。
Back Stage feat. Tiji Jojo
Marshmello x Roddy Ricch - Project Dreams
RYKEYのこの批判がきっかけとなり、BADHOPの一部のファンからRYKEYの自宅にゴミが巻き散らかされる事件(一部では捏造との噂も有り)も発生し、次第にビーフは激化していった。
俺はSNSで口喧嘩なんて情けねー事絶対しねぇからよ
今日横浜のBridgeで一曲だけライブすっからネットで陰口叩く暇あんだから絶対来いよ?
大体俺はお前みたいな小物なんて興味ねぇからお前から喧嘩売ってきてんだからお前から来いよ
これで、今日来なかったら二度と相手しねーからな
— YZERR (@yzerr_official) March 29, 2019
神戸に今日来なかったらおまえはただのカスになるぜ?
文句あんなら来いって言ったべ?
俺も今日神戸でライブなんだわ。
snsでアンサーしてねぇで
神戸来いよ。
バッタもんがよ。
それともあれか?
俺が神戸にいんの知ってていきがってんなら許してやるぜ?
カスは、ガキどもに守ってもらえ
パクリが— RYKEYDADDYDIRTY (@licky6329461) March 29, 2019
このように、SNS上でのやり取りがメインだったビーフだったが、阿修羅MICがインスタライブで「SNSじゃなくて、曲で返せ」と発言したことがきっかけとなり、2019年4月に舐達麻のBADSAIKUSHを客演に迎えて、「You Can Get Again / RYKEY × BADSAIKUSH」をリリース。
さておき あの続きの話ときたら本物の俺からしたら
蚊帳の外だなあれこれ言いたい放題の SNS じゃ
ヤクザにお前は SOS 全て終わった話で
Chaka より 1Verse でお前を殺すぜ
人の真似よりも俺の Original で 全て片付ける
盗作した作品で 武道館に立ってさ
ガキを騙して Rolex なんかつけやがってる
天国の TOKONA は身を削って死んだり
Kandyboys の YUSHI は中指を立ててる
「あの続きの話」とYZERRとのビーフについて触れ、「1verseでお前を殺すぜ」と楽曲で宣戦布告しながらTwitterでROLEXを購入したYZERRをDisっている。
"手錠からRolexにChange"
💎💎💎#richordie #traxtokyo pic.twitter.com/y0eUQhrl8k
— YZERR (@yzerr_official) March 26, 2019
この曲のRYKEYのすごいところは16小節ラップをしたあとに、
verse2 , round 2 と今は一緒さ
と表現し、リングの上ではなく楽曲で勝負しているということを表現した秀逸なリリックを含めているところ。
この曲の完成度が高かったこともあり、ヘッズはたちまちに手のひらを返す形となった。
この楽曲に対し、YZERRははっきりとアンサー曲を返してはいないが、「BAD HOP - Foreign feat. YZERR & Tiji Jojo / Prod. Wheezy & Turbo」で、
狭い国で妬み愚痴るダサい奴は無視
と、アンサーを返しこのビーフは収束した。
多方向をDisるWILYWNKA vs 自分のスタイルを貫く(sic)boy
このように個人を攻撃するビーフがある一方で、一つの楽曲で「最近はこんなB-BOYばっか」という形で多方向をDisるようなビーフも存在する。
最近だと、WILYWNKAがその例だろう。
WILYWNKAは最近のB-BOYに対するDis曲「NO MAKE」を公開。
この曲では、オートチューンばかりを使うラッパーや、Youtuberをしているラッパーなどに向けてDisりまくる。MVは、パンツで外に飛び出したり、YouTuberのモノマネをしたりと、ユーモアの効いた映像に仕上がっている。
白塗り男は無理 なにそのお前の口紅?
俺生理的にも無理 ムリ、ムリ、ムリ!
流石に俺もドン引き スカートがお前にお似合い
何でもアリだけれどそれじゃただガキの勘違い
この曲にアンサーを返したのが、(sic)boy。
2021年4月にリリースしたEP「social phobia」収録曲「GAMEOVER!!」
お前らの嫉妬にめげずにANSER 毛 並み 以前
fake furみたいに見抜く
絶対的に欠けたmind
B ボーイイズムレップ 笑
大変お見苦しくてワロタ
楽しんでますか?悪ノリで勝つわ笑
これ聴いて腹立ててますか
しっかりと自身のラップスキルを魅せながら、WILYWNKAにアンサー。
楽曲にロックの要素を加えることで、自分のスタイルをアピールしている。
この両者の場合は、名指しで批判していないため、そこまでDisが激化することはなかったが、この両者の楽曲でヘッズが盛り上がったことは確かだろう。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回いくつかのビーフを紹介してきたが、どのビーフも様々で背景を知るとより楽曲が面白く感じる事がわかってもらえたかと思う。
特に比較的最近のビーフの場合だとSNSを使って相手を批判することからビーフが始まることが増えた気もする。
SNSが発展したことで、ラッパー同士のやり取りがオープンになり、ヘッズもビーフを楽しみやすくなった一方で、主戦場がSNSになってしまうようなリスクもある。
1人のヘッズとして、ただSNSで相手を批判・Disするだけでなく、楽曲でやり合うようなHIPHOPを感じられるビーフを期待したい。