日本一有名なサイファーを挙げるなら、やはり「梅田サイファー」ではないだろうか?
R-指定・Peko・KZ・KBDなど、全国クラスのラッパーを数多く輩出した名門である。そんな梅田サイファーの「黒幕」と言われているのが、「ふぁんく」。
すでに知っている人も多いと思うが、ユニークなライム、的確なリズムキープなど極めて魅力的なラッパーである。
ふぁんくのプロフィール
- 生年月日:1990年3月10日
- レペゼン:大阪府高槻市
- Crew:梅田サイファー
- 主な戦績:UMB CHOICE IS YOURS2019優勝 UMB2017準優勝
- SNS:Instagram Twitter
ふぁんくは、まだHip-Hopが流行する前の時代から、梅田サイファーで活動してきた。R-指定やpeko、KZ、KBDなどのマイメンであり、彼らとは10代の頃からしのぎを削ってきている。
プライベートではすでに結婚しており、まだ小さい子供がいる。インタビューでは「海外のラップはあまり聴かない、日本語ラップばかり」と語っている。
梅田サイファーはサイゼリヤが大好きだが、ふぁんくも例外ではない。
R-指定に「ディアボロソースの正しい使い方」をレクチャーしたのはふぁんくである。
彼らにとっては、ものすごく大事なことらしい。
学生時代は、家庭環境の影響で、高校1年から一人暮らししている。案の定、朝には起きれず留年。
ラッパーに一人でのタイムスケジュール管理を求めるのは酷な話である。
その後別の高校へ入学し、なんとか卒業したという経緯がある。
ふぁんくのラップスタイル
ふぁんくの特徴と言えば、ギャグラップである。相手の物真似をしたり、茶化したり、裏声で叫んでみたりとまさしくやりたい放題。
ひどい時は奇声を上げるだけで2小節使ったり、「このバースは捨てまぁす」と言ったりする。
このキャラで観客から支持されているのがすごい。
しかしベーシックなライムや定番のフレーズでも、ふぁんくにかかれば印象的なパンチラインに変化する。
本来なら避けなければいけない「ありがち」なラップも、ふぁんくなら武器にできるのだ。
これが成立しているのは、実は的確なライミングとフローがあるから。R-指定たちとしのぎを削ってきただけあって、そのスキルは非常に高い。
特にフローは超人的で、即興の長台詞をリズミカルに吐き散らかして観客を沸かす。
R-指定も、たびたび「PekoさんはHIPHOPだし、ふぁんくさんは鬼のようにラップが上手い」と語っている。
また、単純に「口喧嘩が強い」のも特徴。
相手が言論矛盾を起こしたときは、容赦無くえぐり抜いてくるし、矛盾してなくても揚げ足を取って矛盾として変換してくるどうしようもない相手。
彼に指摘されて消えていったFAKEは数知れず。
ふぁんくのベストバウト
「お前のラップやと思ってないからぁ!」
UMB2017:VS DOTAMA
大阪ローカルだったふぁんくの知名度を、全国区に広げるきっかけとなったバトル。悲願を叶えようとするDOTAMAの前に、決勝で立ちはだかった。
ここでも、ふぁんくのギャグラップと口喧嘩の強さが炸裂。
DOTAMA寄りのバトルだった(DJのビートすらDOTAMA寄り)にも関わらず、延長の延長まで泥仕合を演じた。
UMB2017 VS 呂布カルマ
「マイクが震えてるってMU-TONに言われてたゾォ〜」
UMB2017のふぁんくは、明らかに神懸っていた。その際たる例がこのバトルである。
相手は強敵呂布カルマ。
呂布カルマの主張は、「バトルは1対1で成り立つ」「俺は業界全体を見据えている」というのが軸になっていた。
これを「1対1で相手を見るといいつつも、一方で業界を見ているのっておかしい」という風にとらえて、呂布カルマの言論を矛盾させた。
よく考えれば矛盾しているとは言い切れないのだが、それを矛盾に見せたふぁんくの説得力は凄まじかった。
この年の呂布カルマは、ヤングたかじんに奪われた名古屋チャンプの座を奪還して出場......というのは冗談。
おそらく彼はヤングたかじんを前振りとして、2017年に呂布カルマとして登場し、優勝しようと企んでいたのだろう。
実際、この年の呂布カルマは、晋平太を虐殺するなど勢いに乗っていた。そんな彼を倒したふぁんくは、やはりすごいのである。
ふぁんくの音源
ふぁんくは、主に個人名義と梅田サイファー名義で音源を発表している。
音源では、意外にも王道のHip-Hopを表現。
リリシストな一面を見せている。
「マジでハイ」のMVを見てもらえばわかるが、やはりラップが上手い。
リズム感もいいし、何より音のハメ方が綺麗である。
孤高のギャグラッパーであり巧者
MCバトルが流行する中、さまざまなスタイルが発明されている。中でもギャグラップは、特に難しいスタイルだろう。
スキルフルでありながら、しかも面白くないといけないのだ。
それを簡単にやってのけるふぁんくの魅力に、ぜひ気づいて欲しい。