大門弥生は、ラッパー/シンガー/ダンサー/コレオグラファー/フェミニストなどジャンルに囚われず活躍するエンターテイナーだ。
10月2日は国際非暴力デーだったが、それに合わせて新曲「まけんな」をデジタルリリースした。これまでの彼女のイメージ通り関西弁を交えたパワフルで上がるチューンだが、昨今の時勢などを踏まえた深いメッセージが詰め込まれた名曲だ。
この記事の中で、新曲「まけんな」に込められた思いについて迫っていきたい。
「まけんな」は中傷や状況に立ち向かう楽曲
10月2日にリリースされたばかりの「まけんな」は、暗いニュースが続く今年の重たい空気を吹き飛ばすようなパワーを持っている。
タイトルの「まけんな」は、女子プロレスを観戦した際の選手達の声援に食らった経験が元になっているという。ひらがなでの表記はなにか他の意味とかけられているのか、「負け」という言葉の強さを和らげる目的があるのかもしれない。
ジャケットをよく見てみると、ペアレンタル・アドヴァイザリーマークではなく「We don't need slander(中傷はいらない)/Yayoi Daimon」と書かれている。
そう、この楽曲は5月23日に亡くなった木村花への思いも込められているのだ。
https://twitter.com/DaimonYayoi/status/1311097058976096258?s=20
この件をきっかけに、ネットでの誹謗中傷について議論を呼んだ。これは日本だけでなく、世界中で長らく問題となっており、法整備や監視体制の強化などが進められているが依然として具体的な解決策は見いだせていない。
木村花は入場の際に、「ヒールで仁王立ち」を入場曲として使用していたそうだ。
大門弥生はセクシーなヴィジュアルを見せることも多く、時としてこのMVのように下着姿になることも厭わないが、その堂々とした姿は清々しい。それは性的消費されることで対価を得る事を目的としているわけではなく、自分のために好きなファッションやスタイルを楽しんでメイクマネーしているからだ。
念のため言うと、違う考えを持ったり性的な職業についている人を揶揄する意図はない。職業に貴賤はなく、自分のお金を稼ぐことは大切だとミッシー・エリオットも言っている。
彼女のこの姿勢はセクシーであろうと自分の選択こそフェミニズムだと考えるエミリー・ラタコウスキー(モデル・女優・デザイナー)にも通ずる部分がある。
今年8月にAbemaMixに出演した際も「ヒールで仁王立ち」を1曲目に披露し、木村花に捧げたパフォーマンスをしている。
原曲では、
女が無理とか出来ひんとか
偉そうに言ってたん 誰かな?
という歌詞を
花が無理とか出来ひんとか
偉そうに言ってたん 誰かな?
とシャウトしている姿を見ると目頭が熱くなってしまう。
新曲「まけんな」には他にも、コロナ禍で落ち込んでいる人や、ツアーや海外フェスへの出演が中止になってしまい落ち込んだ大門自身を励まして前を向くためのガソリンのようなリリックが詰まっている。
単に前向きな言葉だけだと却って負担になってしまうこともあるが、方言やアクセントを使うと言葉に温かみや優しさが加味される。友人に応援されたような暖かい気持ちになる。
配信ライブやビデオも要チェック
「まけんな」のリリースと同じ10月2日には、「SHIBUYA CULTURAL LIBRARY」の配信ライブにも登場。
「大門弥生 feat. Girls Power」として、「メロンソーダ」や「Choose me」など多くの楽曲で共作しているRei©︎hi
「NO BRA!」で共にボスギャルJK姿を見せたあっこゴリラ
さらに以前から交流のあったなみちえ
「Zoom」がスマッシュヒットし、「生きてるだけで状態異常」のリリースを10月7日に控えるZoomgals(MVも同日公開予定)
という豪華なメンツでパフォーマンスを行った。
ライブは終わってしまったが、9日(金)までアーカイブチケットが購入できる。
また、10月中旬には「まけんな」のMVも公開されるそうだ。
フェミニストは黙らない
大門弥生は自らを「フェミニスト」だと言う。
フェミニストという言葉を聞いて、どんなことを想像するだろうか。
「社会運動の一端」あるいは、「伝統や既存の価値観を破壊するもの」や「女尊男卑を広めるもの」なんてイメージを持つ人もいるかもしれない。
もちろん、フェミニズムの形は人それぞれだ。穏健派や個人を尊重する人も多いが中には急進派、過激な思想を持つ人もいる。そう、社会学や経済学、その他の学問や考えと同じように。
大門弥生は性別などを所属に関係なく「自分がしたいことをする」ためにガールズエンパワメントを進めている。女性だから、男性だからと諦めていた事をしてみたら他者に対しても少しずつ寛容になれるかもしれない。誰もがファーストクラスビッチになれるのだ。