3月17日、プロデューサKMがLEXをフューチャーしたシングル「Stay」が配信リリース。同日19:00には、YouTubeにてHAVIT ART STUDIOが手掛けたMVが公開された。
同楽曲は、昨年末にメンズカルチャーマガジン「GQ JAPAN」が公開したドキュメンタリー「日本のヒップホップ 最前線を伝えるラッパーたち」内で制作風景が撮影され、エンディングでも使用されていたこともあり、ヘッズの間ではリリースが待ち望まれていた話題の楽曲だ。
kiLLa、BAD HOP、KANDY TOWN、SKY-HIからECDまで数多くのヒップホップアーティストのプロデュースを手がけ、昨年は(sic)boyとのアルバム『CHAOS TAPE』でも大きな話題を呼んだプロデューサー・KM。今作は、昨年自身3枚目のアルバムとなる「LiFE」を発表し、その後も次々と話題作に客演として参加し、注目を集めるLEXを迎えた一曲。
今回は、KMとLEXの「Stay」のMVから優れた音楽性を持つ2人が作り出した世界観を紐解いていきたい。
KMのメロディアスなトラックとLEXのエモーショナルさが光る「Stay」
Stay Ft. LEX @lex_zx_lex_0 - KM
リリースになりました。聴いてね!https://t.co/v3v0BBaBSM pic.twitter.com/7XhYytMZEU— KM (@KM_music_) March 16, 2021
KMの持ち味である繊細でメロディアスなトラックに、LEXが日常で感じた事をエモーショナルに歌い上げた今作「Stay」
KMが自身のアルバムのために、あるトラックをLEXに渡したところ他のトラックも聴きたいと言われ、数あるトラックの中からLEXが選んだトラックが今作のあの曲。
LEXはこのトラックを選んだ理由を「今日の自分のバイブスに合わせた」と「GQ JAPAN」のインタビューで語っている。
LEXはこのトラックを選んでから、わずか1時間ほどでメロディーをほぼ決めてしまったとKMは語っており、このエピソードからは、LEXの音楽センスの良さが垣間見える。
LEXの音楽センスの良さが垣間見えるエピソードは、実はこれだけではない。
LEXの声には、実はオートチューンが入っていない部分も多いという。オートチューンを使わなくてもリスナーに、「かっこいい、聴き心地が良い」と思わせることができる秘密は、LEXの高いヴォーカルスキルにある。ビブラートを絶妙にかけたり、声の強弱を微妙に調節したり、シンプルに歌が上手いというスキルが備わっていることがLEXが話題作を生み出す理由の一つだろう。
ランウェイを歩くモデルとのデート
すぐにさかけてiPhone
台湾、South Americaの友達と遊ぶ
モデル撮影しないと
恋人や仲間たちと過ごす日常の裏に隠れた孤独や心の痛みをうまく表現したMV
YouTubeでは、3月17日にHAVIT ART STUDIOが制作したミュージックビデオも公開された。
このMVでは、LEXが恋人や仲間たちとゲームをしたり、ドライブをしたり楽しく過ごす様子が撮影されている。
複数人で楽しんでいるシーンの合間合間に、LEXが1人で車にもたれかかる描写などが入ることで、恋人や仲間たちと楽しく過ごす日常の裏に見え隠れする孤独や、心の痛みをうまく映像として表現している。
そんなの平気 平気 たまにget high 一人 誰かのせいに せいに して弾けたrain
MVキャストのモデルが可愛すぎると話題に!
YouTubeのコメント欄では、MVに登場するモデルさんが可愛すぎると話題になった。
どちらもすごく美人でMVの中でも重要な役割を果たしている。MVの世界観にもマッチしていて、これ以上ぴったりな配役はいないと言えるだろう。
今作のMVに登場する2人のモデルのインスタアカウントはこちら。
アユミ イザベルさん
ASHLEYさん
KM・LEX 才能あふれる2人の代表作からわかること
ここまでは、2人の天才が作り上げた話題の楽曲「Stay」について解説してきた。ここでは、KMとLEXそれぞれの代表曲に触れることで彼らの凄さを今一度体感しよう。
KM - ラッパーの持ち味を最大限引き出すトラックメーカー
これまでに様々なアーティストへの楽曲提供やRemixワークに加え、AbemaTVのオーディション番組「ラップスタア誕生」でのトラックを手掛けていることでも知られるKM。
ラッパーの個性に合わせて楽曲をプロデュースするのが上手なので、KMと楽曲制作するとアーティストが数十倍カッコよくなる。
その例が、昨年大きな話題を呼んだ(sic)boyとのアルバム『CHAOS TAPE』に収録されてい「Heaven's Drive feat.vividboooy」
(sic)boyとvividboooyが持つグルーヴを最大限に活かすこのトラック。
HIPHOPとROCKの両方の要素を盛り込んだこのトラックが、hook部分の勢いを保ったままクールな印象を残すことに成功している。
Let’s get in heaven’s drive 眠くない街光るneon sign
middle finger up to this lazy night かみさまの気まぐれに警戒 yeah
burnin this heaven’s drive 眠くない街はdon’t tell me now
middle finger up to this lazy night かみさまの気まぐれに警戒 yeah yeah
LEX - 多彩なサウンドで支持を集める新星
自由自在なフロウでヘッズから絶大な支持を得ているヒップホップ界の若き新星LEX。
今回KMと作った楽曲は、エモーショナルに歌い上げたLEXだが、早いTrap系のビートでも自由自在に乗りこなすことができる。
別撮りした音を重ねるだけでなく、音の強弱やリズムの緩急を複雑に織り混ぜることで、無限大のフロウを生み出す。
この音楽センスには、ベテランラッパーZeebraも舌を巻くほど。
Zeebraが特に驚いたのは、LEXの「GUESS WHAT? feat. XakiMichele」
とにかく自由にいろんなフローに挑戦する日本人離れしたLEXのラップセンスは多くのラッパーに評価されている。
LEXの世界観全開の「ALIEN」
okk 俺like dumb
手にはmollyで こぐチャリ最高
ポリに呼ばれ浜裁判所 歴がバレてまた再登校 ah ha
tsune wanna die それもさpast
ride on super bike i got money yeah do you wanna ride? booty乗せて
we go tokyo tonight lin lin lin
文字起こししてみると、LEXのLyricの中には英語と日本語両方が含まれていることがわかる。
英語と日本語を巧みに織り混ぜることで、フロウの自由度を高めている。これもLEXが自由自在なフロウを再現できる一つの理由なのではないか。
天才と天才が作り出した最新作を聴き逃すな!
プロデューサKMがLEXをフューチャーしたシングル「Stay」。2人の天才の才能が合わさって完成したこの楽曲を1人でも多くの人に聴いてもらいたい。
これからもトラックメイカーとラッパー両方に注目が集まり、日本語HIPHOPシーンが今よりさらに盛り上がっていくことに期待していきたい。