5lackが自身通算8枚目となるアルバム「Title」を4月7日にリリースした。3月には5lack実兄のPUNPEEが新作EPをリリースしたばかり。
今回のアルバムでは自分でトラックメイキングもこなしながらも、USからChance the Rapper、Mac MillerなどのプロデュースやAce Hashimoto名義での活動も行うbrandUn DeShayと、Kendrick LamarらTDEの初期作品からJ.Coleとのプロデュース経験を持つWillie Bの2名が参加。
国内からはBudaMunk、そしてゲストMCとしてISSUGI、楽曲「Wonder Wall 」でも兄弟で共演したPUNPEE、「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack(Prod. DISK NAGATAKI & Chaki Zulu)」での共演も記憶に新しいkZmを迎えている。
今回のアルバム「Title」では、CDでの発売も決定している。CDのジャケットの作画を担当したのは、arisa kumazawa。この作画はarisa kumazawaによる作品の制作途中段階であった原画をそのまま印刷したもの。Instagramでのアプローチがきっかけで制作が実現したというこの絵は、アルバムの内容を具現化し語ってくれている。
https://t.co/0DNDkjZL9G
今回リリースとなるCDのJKTは、作画を担当したarisa kumazawaによる作品の制作途中段階であった原画の状態そのままを印刷。20cm x 20cmという特注サイズのデジパックを用いた特別仕様のCDパッケージが完成。さらに、1000枚限定でナンバリングシールが付属されている。— 髙田音楽制作事務所 (@5lack6) April 3, 2021
Track List
1.Uz This Microphone
2.五つノ綴り
3.桃源郷 Prod by brandUn DeShay
4.稼がな Feat.Issugi
5.Nove
6.近未来 200X
7.現実をスモーク
8.U Gut Me
9.Betterfly Prod by Budamunk
10.己知らぬ者たち Feat.Punpee Prod by Willie B
11.終演
12.Sylar
13.Bad End Feat.kZm
14.つかの間
今回のアルバム「Title」でも、限定リリースしたCDは発売前の受注開始から24時間以内で完売したという。このエピソードからは、現在のHIPHOPシーンにおける5lackの存在感が感じられる。
今回は、5lack通算8枚目のアルバム「Title」から5lackの人気の秘密と、人としての魅力を解明していきたい。
5lackという男
東京出身のラッパーでありながら、同時にトラックメイカー、プロデューサーとしても活躍する5lack。2015年・年末から地上波で放送されているNTT ドコモ「2020年東京オリンピック・キャンペーンCM “Style ’20 “」に「東京」の楽曲提供を行った。
この予感 思い描いてた未来 握る拳の中 込めた願い
寝ないで考え抜いた晩がある 俺にも重要な出番がある
目覚めな やるべき事はやった YESと言える自信も備わった
俺はやれる 自分に勝てる 爆発する心拍数 お話のはじまり
ヒップホップを知らない人でも、このCMを通して5lackを知ったという人も多いのではないだろうか。
PUNPEEや5lackのすごいところは、国内外を問わず活動を広げていることの他にも、HIPHOPというジャンル以外の「音楽」という大きなカテゴリーで活動を盛んに行っている事。
2020年10月21日にはYouTubeに無料配信「MAMONOISM ZERO」で5lackがLIVEを行い、多くのヘッズを熱狂させた。
あえて懐かしい曲を含めたLIVE構成にすることで、HIPHOPというジャンルを最近好きになった人だけでなく、昔からのファンを含む全ての人に「5lackってやっぱりかっこいい」と改めて感じさせるLIVEになった。
そのLIVEの中でも歌っていた楽曲「透明少女」
この曲は、OZROSAURUSのMacchoを客演に加え制作した楽曲で、哀愁の漂うビートの上で都会の中で孤独を感じる人の心に深く刺さるリリックが天才的。
Hook
スルーできないよsystem 雨に濡れて
普通と違う感じに惹かれて
いや無理こんな街で
悪さにも慣れて
どこに消えるalone
5lack 8枚目のアルバム「Title」の魅力に迫る
本当はまだまだ5lackの名曲を紹介していきたいところだが、次に今回リリースされたアルバム「Title」の魅力について語っていきたいと思う。
5lack -桃源郷
Ace Hashimoto名義での活動も行っているbrandUn DeShayがComposerを担当している「桃源郷」
このbrandUn DeShayというラッパー実はかなりの日本好きではないか?と一部のヘッズの間で噂になっている。brandUn DeShayのInstagramを見ればわかるのだが、確かにかなりの日本好き。
https://www.instagram.com/p/BlqHT2nB7uL/?igshid=1cl5m8f6k9ymh
その他にも、日本にまつわる楽曲を多数制作している。
このbrandUn DeShayとの楽曲「桃源郷」の魅力はなんといっても5lackの繊細なリリックと、独特の語感。トラックの音の合間合間に言葉を挟み込む5lackのフロウがとても聞き心地がいい。
この道は孤独が絶対 半端してる難破船が停滞
その携帯に所持されてる お前の未ユーザーは変わりました。
腕も足も大差ないぜ 脳に比べりゃ 謙虚にやりな
おれは目指すぜ当然今日も そこは夢に見た桃源郷
5lack - 稼がな (feat. ISSUGI)
盟友ISSUGIを共演に迎え制作した楽曲「稼がな」
ヘッズ待望の二人の久しぶりの共演が胸を熱くさせる。
ISSUGI
稼ぐ金なきゃ野垂れ死ぬの誰 なければ成れの果て争いの種
陰口一銭の得にもならねえ おれは孫の代まで落とす印税
二人の強めなアティチュードが本当にかっこいい。これぞラッパーというようなスタンスにたまらない。
5lack -近未来 200X
クレジットには記載されてないが、実はこの楽曲GAPPERが客演として参加している。
このサプライズに胸が熱くなったリスナーは絶対いるはず。
5lack独自の時代の解釈と現代の日本語ラップの流行りに影響されずにスタイルを貫いた楽曲はまさにクラシック!
5lack - 己知らぬ者たち (feat. PUNPEE)
「Wonder Wall」に続き、PUNPEEとの兄弟再共演が実現。普段のキャッチーなイメージとはまた一味違うPUNPEEの魅力が引き出されている。
兄弟でありながら、お互い独自の表現方法を持ち合わせていてそれぞれの個性が光る楽曲になっている。
いつかは高級車に豪華なディナー ぶら下げるあいつのROLEXもカスタム
もしくはチープな財布に自炊飯と缶ビール どっちがリアルでも命は肝心
5lack - Bad End (feat. kZm)
トラックの13曲目に収録されている「Bad End (feat. kZm)」
kZmを客演に迎えたこの曲は新しいHIPHOPの可能性を感じられる楽曲に仕上がっている。曲名の「Bad End」という名前の通り、終わりと同時に新しい始まりを期待させてくれるエッジの効いた楽曲だ。
どこかダークな雰囲気のあるトラックの上でkZmと5lackの言葉が深く胸に刺さるのではないだろうか。
5lackの新アルバム「Title」を聴き逃すな!
気の抜けたかっこいい適当さと、核心を突くメッセージ性の緩急を感じられる今アルバム。
トラックに対してどういう声を使えばかっこよく聞こえるか。5lackはそれを感じ取るセンスがずば抜けている。
5lackの自分のスタイルを突き詰めた音楽を詰め込んだ今回のアルバム「Title」に涙腺を刺激される人もいるのではないだろうか。
できるだけ多くの人に今回の5lackの新作を堪能してもらいたい。