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kZmが「F*** You Tokio I Love U! 」で5lackと再共演。東京で生まれ育った2人の視点

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kZmが、今年4月にリリースした2ndアルバム「DISTORTION」から「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack」のMVを公開した。広大な自然と東京で撮影された映像はこれまでのkZmのMVと比べると落ち着いた雰囲気だ。

この記事では、「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack」の曲やMVの魅力について考察していこうと思う。

東京生まれのkZmと5lackが再び共演

「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack」はアルバムの中でも人気の高い曲だったこともあり、10月13日に公開されてからかなりの勢いで拡散されている。

監督は「Dream Chaser feat. BIM」「Yuki Nakajo」などのMVも手掛けたCreativeDrugStoreのHeiyuuだ。

Heiyuu監督作品はコントラストがはっきりしており都会の夜の様子、暗闇とネオンをきれいに写しだすところが個人的に好きだ。

今回の「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack」でも、タイトルの通り東京の街も存分に登場する。

だが、この曲は聞いて分かる通り東京賛歌ではなく生まれ育った街への愛憎やビタースイートな気持ちが込められている。

Tokio の街は Feel so tired
興味のないおまえの挨拶

「DISTORTION」発売時のインタビューで語ったように、表面だけの付き合いに辟易するのは誰しも経験があるだろう。

地方のシーンと比べ、東京は横の繋がりが希薄とも言っている。たしかに、クルー内での結束は強かったり、個人レベルで交友があってもそれぞれが独立していてお互いに干渉しないイメージがある。

弾くこのコンクリート
抜ける Cuz
ここは So boring
Let's it go
飛行機に乗り
喧騒なんて届かないとこに
Took L 宇宙と交信
地球から得る
謎のドーピング

ビル群がバリケードのように空間を封鎖しているような気分になる東京を抜け出して、kZmは遠い場所に旅立つ。

実際、MVの中でもkZmは広大な自然の中にいる。田舎道・広い空・木漏れ日・広い水辺と都会とは対象的な風景が映し出される。

気になるのはTook Lの意味だ、take an(the) Lで「失敗した、(結果が)ダメだった」といった意味になるが(ビッグショーンのBounce Backにも出てくる)多分文脈からして違うだろう。

おそらくLift offのLかな、と思うのだが彼は結構新しいスラングも使うのでもしかしたらそういった表現があるのかもしれない。重要なのは、「Took L 宇宙と交信/地球から得る 謎のドーピング」と細かく踏んでいることだ。

他にもway upとLow Keyの対となる表現や、「今の俺に」「I'm on my way out」「火をつけてぶんなげればいい」「Tokio f*** boombayah」の音のまとまりかたなど、さすがkZm・・・となる技が随所に光っている。

ひとつひとつ固く踏むのもいいが、kZmのように音の印象を合わせるスキルが高いラッパーも聞いていて気持ちがいい。これは彼のライミングセンスから来るものなのだろうか。

外から東京を眺める5lack

「東京の中にいて、影の面が目につき窮屈さを感じる」kZmのバースの次は、「東京から出た人の俯瞰と郷愁」を5lackが描く。

5lackは東京都・板橋区出身だが、2013年から福岡に拠点を移している。

昼の3時に目覚める
「ねぇ、今日も終わりそうだね?」「えぇ」
昨日の自分と比べてる
「明日は変われそう?」って「え?無理」

都会の夜に紛れて、こんな風に考えている人はどれくらいいるのだろうか。

明日は、来週には、来年までには、次の誕生日までには。

東京ラブストーリー 俺の目の前をただ素通り
あいつは巷の人気者らしい 悲しくなるよなくだらん話
チャンスをちょうだい? 君はそれでいいのに
これならどうだい? コネある所に金あり

ラッパーだけじゃなく、どんな仕事をしている人でもこのラインは深く染みるだろう。

5lackは以前インタビューで、「自分がヤバいという事を示すためにHIPHOPを使うのではなく、HIPHOPってヤバいと思ってもらうためにラップしている。」といった発言をしている。

夢や仕事や趣味、私生活でも自分のやりたい事よりも、いつしか権力や人気のレースに参加してしまい手段が目的に代わってしまった人は多いはずだ。

MVの中の5lackは東京にいながらも、どこか街と距離がある。巨大なビル群を遠くから眺めたり、車の中にいたり壁を隔てていて「自分の街」とは感じていないようだ。

夜景のネオンやビルに反射する東京タワー、お台場、窓ガラスに映る照明の光や車のライトはぼやけていたりぐにゃりと曲がっている。5lackから見た輝かしい都会の姿は実態のない幻なのだろうか。

終盤にかけて映るスカイツリーや摩天楼、高速道路は無機質で冷たい。

他の曲でもそうなのだが、5lackの歌詞を聞くと少し立ち止まって深呼吸をしたい気持ちになる。ふわふわとさまよっていた考えが、現在地にすとんと落ちるような感覚だ。

肯定というより、現状の自分の等身大を知る感じに近い。

拝啓 あの娘は元気ですか? あいつは幸せになれましたか?
俺なら状況変わりました 変わり続けるが変わらない事

と、締めるのはさすがのお点前だ。

自分を保つために環境を変えたり、変化を続けていても変わらない部分があったり人間は複雑にできている。kZmと5lackが故郷である東京を思う気持ちのように。

kZmと共に東京をスクラップアンドビルド

「F*** You Tokio I Love U! feat. 5lack」のMVに何度か出るkZmの周りに燃える火や、ライターや炎は今の東京を燃やし、新しく作り変えていくという曲のテーマを表している。

あと、本当に今更なのだが2人とも声がかっこいいので耳にして気持ちがいい曲だ。

「DISTORTION」には、他にも良曲と豪華なメンバーが集まっているのでぜひアルバムを通して聞いて欲しい。

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