Kvi Babaの新作EP「LOVE or PEACE or BOTH」が11月17日に配信リリースされた。
BACHLOGICが主催するレーベル、プロダクション「O.Y.W.M.」に活動拠点を移したKvi Baba。今回の新作EPでは、Fuji Taito(BRIZA)と、vividboooyが客演として参加しており、Fuji Taitoとの楽曲「」とvividboooyとの楽曲はすでにYouTubeに公開されている。
[Track List]
- 01. Yozora No Mukou
- 02. Sabaku No Daichi feat. Fuji Taito
- 03. Step to Me
- 04. Tired But Fine
- 05. Tired But Fine (Remix) feat. vividboooy
今回すべての曲をBACHLOGICがプロデュース。kvi Babaの個性を存分に活かしたトラックでしっかりと援護する。
Kvi Baba / Tired But Fine (Remix) feat. vividboooy
今回の新作EP「LOVE or PEACE or BOTH」の最後の5曲目に収録されている「Kvi Baba / Tired But Fine (Remix) feat. vividboooy」
客演にvividboooyを迎えたこの曲は、リリースする前からかなり人気の高かった一曲。MVの撮影は、Official髭男dism、あいみょん、BAD HOP、変態紳士クラブなど幅広いアーティストのMVを手がける映像作家新保拓人が担当している。
今回のMVは、すべての部分をIPhone最新機種「iPhone 12 Pro Max」で撮影」
縦型で白黒のMVは、グラフィカルな雰囲気を感じさせ、より、Kvi Babaのリリックに深みが出るような作品になっている。
~hook~
生きることに疲れ果てでもまだ
その先に待つ喜びがあるから
雨の後晴れわたり 暗闇に光を見る
そこでしか見れないものがあるから
Kvi Baba / Sabaku No Daichi feat. Fuji Taito
11月6日に一足先にYouTubeに公開されたFuji Taitoとの楽曲「Sabaku No Daichi」
壮大な砂漠を歩きながらラップをする2人をクールに描写したMVはとても印象的。
ギターで緩やかなテンポから一瞬音が抜かれ、そこから一気にhookに突入するBACHLOGICのビートと、Fuji Taitoの独特のワードセンスがたまらなくかっこいい。
Fuji Taito (verseの一部分)
テストステロンが余りすぎて誰かに売りてえ
目に見えないもんだけ追いかけた結果
この腰に巻かれたチャンピオンベルト
誰か外してくれる? What?
今年5月に3rdEP「Happy Birthday to Me」をリリースしただけでなく、リリース後ヒップホップヘッズを熱くさせたZORNの最新アルバム「新小岩」にもILL-BOSSTINO、Anarchy、AKLO、KREVAなどの名だたるビックアーティストたちと客演として、参加し注目を集めるKvi Baba。
今回は、彼がここまで注目を集めた経緯について紹介していく。
Kvi Baba
1999年生まれのラッパーKvi Baba。2017年にSound Cloudに立て続けに楽曲を公開し、音楽活動を始めた。トラップ、クラウド、ラップ、オルタナティブ・ロックから影響を受けたことで、メロディックなラップスタイルと、自分の心情を上手く言語化したリリックは多くのヘッズを虜にした。
2019年には、2枚のEPと1st FULLアルバム「KVIBABA」をリリースした。配信のみでリリースされてきた2枚のEPを経て、雑誌MUSICA『2019年超重要気鋭アーティスト』、Apple Musicでは『今週のNew Artist』に選ばれ、さらにはスペースシャワーTVの2019年度最注目新人アーティスト『SPACE SHOWER RETSUDEN NEW FORCE』に大抜擢されるなど、数々のメディアの新人登竜門企画において軒並み高評価を得た。
海外では、XXXtentacionやLil Peepなどエモラップと呼ばれる新ジャンルが登場しているが、Kvi Babaは、日本社会に居場所も行き場所もない若者の心情をリアルにリリックとして描き出す。
3rd EP「Happy Birthday to Me」での変化
3rd EP「Happy Birthday to Me」では、VIGORMAN、NORIKIYO、RYKEYといった豪華メンバーを客演として呼び、多くのヘッズを驚かせた。
元々は自分のネガティブな部分を吐き出して歌詞にしていたKvi Babaだったが、3つ目のEPでは、歌のトーンも少し晴れやかになってトラック自体も暖かいものになっている。
これは、このEP制作時にKvi Babaに起きた出来事が関係している。
多くの人と揉めて、人にも裏切られ、所属していたレーベルも抜けた上に体調も壊してしまい、本当に死にそうだった。
Kvi Babaは当時のことをこう語っている。
これまでの楽曲でのネガティブさは、ポジティブにいくための反動として希望を歌っていた。しかしこのEPからは、直接的に「生きたい」と希望を持つようなリリックを歌うようになっている。
例として、3rd EP「Happy Birthday to Me」の一曲目の「Fight song」
この曲の始まりは、「この曲を僕へ捧げる」と言うセリフから始まり、
It’s a Fight Song 生まれて今 初めて書く
Love Song 僕が僕宛に書く
It’s a Fight Song 生まれて今 初めて書く
Love Song 綺麗事だけじゃないぞ
と自分を鼓舞するようなリリックになっている。
さらに、
心のどこかじゃ死にたいかも けど心の大半生きたいんだろ Oh!
空からからお呼びが掛かるまでは まだなすべき自分の使命を果たそう
と、これまでの自分のネガティブさを受け止めて、ポジティブにこれからを生きていこう。と言うような力強いメッセージが伝わる。
EPの最後に収録されているRYKEYとの楽曲「Decide」でも、
何が答えなんて誰も分からないんだ だけどそれでいいんだ俺が俺で俺といれば
前向きに現状を受け入れて、この世界で生きていくという決意が感じられる。
絶対に聴くべきKvi Babaオススメの楽曲
多くの大物ラッパーとコラボし、日本語ラップの新世代を担う存在としても期待されているKvi Baba。ここでは、多くの楽曲の中からオススメの楽曲を紹介していく。
Kvi Baba / A Bright feat. SALU
Kvi Baba2枚目のEP一曲目に収録されている。「A Bright」
当時知名度のなかったKvi BabaがSALUとフューチャーリングしたことで話題になった。Kvi Babaの知名度をワンランク上に押し上げたKvi Babaを語る上では外せない曲。
DJ TATSUKI - Invisible Lights feat. Kvi Baba & ZORN
当時19歳だったKvi Babaが、実力が認められてZORNとコラボした名曲。世代を超えたリリシストが、DJ TATHUKIのトラックの上で混じりあう。
~hook~
見えない光 見えない光 見えない光を描き 僕は空へ向かってく
Kvi Baba / No Clouds
3rd EP「Happy Birthday to Me」の2曲目に収録されている「No Clouds」
MVでは、Kvi Babaが青い空と広い草原でのびのびとラップする様子が撮影されている。これまでのネガティブなイメージを払拭する新たなKvi Babaの姿にヘッズは好印象だった。
Kvi Baba / Planted in Problem
2枚目のEP「19」に収録されている「Planted in Problem」
正直でいても 人はいなくなり
嘘つきでいると 誰も求めない
難しく 考えてる 君の頭上のみにまたふりそそぐ Rain
社会に居場所がないと悩むKvi Babaの心情に響くリアルなリリックは多くの若い世代の共感を生んだ。
SALU / Rap Game (Kvi Baba Remix)
SALUのRap GameをREMIXして歌った作品。一時期多くのラッパーの間で流行になったが、Kvi BabaのRap Gameもまた個性があって、その個性に多くのヘッズが取り憑かれた。
誰もが持つ一つだけダイヤモンド
というリリックは、DABOのI REPにサンプリング。年齢はまだ若いものの、過去のレジェンドにもしっかりとリスペクトしている姿に多くのヘッズが感心した。
Kvi Baba / Fight Song (Remix) feat. VIGORMAN & NORIKIYO
3rd EP「Happy Birthday to Me」の5曲目に収録されているFight SongのVIGORMAN とNORIKIYO REMIXバージョン。
NORIKIYO verse
拝啓 お前に伝えてぇ 今の俺は
ここに居るよそこには帰れん
だって 今は分かってる 闘うべきは過去じゃない ”今の自分” だって
Kvi Babaの深みのあるhook、Vigormanの聴き心地の良いフローと硬い韻、NORIKIYOのリリック。どれをとっても最高の楽曲。
いかがだっただろうか。
多くの大物ラッパーと共演し、その確かな実力でヒップホップヘッズを瞬く間に虜にしてしまう深みのあるリリックは、これからもたくさんの作品を生み出すことだろう。
まだ若いKvi Babaのこれからに期待していきたい。