フリースタイルダンジョン 漢VS晋平太 9sariで縛るな Libraで測るな

MC battle

フリースタイルダンジョン3rdシーズンRec7-4。
引き続き、晋平太の挑戦。

【前回】フリースタイルダンジョン 晋平太 菊の花めっちゃキレイに飛ぶの巻

今回は因縁の漢akaGAMIとの戦いだ。
2人に過去、どんな問題があったかを理解していないと何が因縁なのかがわからないと思うので簡単に説明する。

もともと日本最大のフリースタイルMCバトルの大会UMBを作り上げた漢だったがライブラという自身が所属していたレーベルにUMBの権利を奪われた。
前段階としてもライブラでは所属アーティストへのギャラ(売上)未払い、暴力行為もあった。

そこで漢はライブラと決別し、9sari(鎖)GROUPという新たなレーベルを立ち上げ、UMBを超える大会を作り出すため新たなフリースタイルの大会KING OF KINGS(KOK)を開催した。

フリースタイルダンジョンで晋平太と共演になることでライブラの社員疑惑があった晋平太に対し、番組的に大丈夫かと思い、漢が確認を取ったところ晋平太はライブラの社員ではないと答えた。
漢はついでにKOKの運営に晋平太も誘い、晋平太もその誘いに一度乗ったのだが、実は晋平太は漢が憎んでいるライブラに所属していた。

他の9sariのメンバーは疑いをかけていたが、漢は「晋平太にも色々考えがある」と最後まで庇っていたが、このような結果となった

晋平太は漢に嘘をついていたのだ。
それでも晋平太は共演中、漢に握手を求めたり…
これが漢の怒りに火をつけ晋平太の番組降板に繋がったと言われている。

 

当時、公式にライブラと決別するために行われた記者会見がこちらの動画

【出典:鎖グループ & BLACK SWAN 公開記者会見 on DOMMUNE (2014/06/04)

騒動の根本的な話(39分あたり~)、晋平他に対しての話(1時間18分あたり~)が9SARI HEAD LINEでも行われた。

【出典:9SARI HEAD LINE #50「KAN a.k.a. GAMI to The Extreme!! The Truth…」

そんな因縁の2人のバトルにフォーカスをあてる。

晋平太 vs 漢 a.k.a GAMI


いよいよ待ちに待った晋平太と漢akaGAMIの戦いだ!
先攻は晋平太、後攻漢。

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晋平太「とうとう来たなこの時が(ここで漢も「ガーーッ!」と合わせる) ずっと言いたかった 代々木公園じゃ約束破った 役不足のラッパー 役立たずだった だがな 俺が何かしたか?あれ?俺いじめられてる?貼られてる 惨めなレッテルなら この場で剥がし叩き返す」

晋平太の心の叫び。
「とうとう来たなこの時が」は漢の名パンチライン。
UMB2005でカルデラビスタ戦で使われたフレーズ。

晋平太の音源「CHECK YOUR MIC REMIX」でニガリがサンプリング。
さらには晋平太も自身の「「CHECK YOUR MIC」でサンプリング。
バトルでもよくサンプリングされる名フレーズ。

【出典:晋平太 / CHECK YOUR MIC

【出典:CHECK YOUR MIC REMIX 晋平太feat MCニガリ a.k.a 赤い稲妻 R-指定(Creepy Nuts)般若 & DJ AKAKABE

 

漢「弱い者いじめ だったら惨め 違ぇよ勘違いすんなよけじめ 付けに来ただろケリつけに はい嘘つき発見したこのバカタレ ったれんじゃねえ さっきのアマチュアチームよりもお前はよっぽどアマチュアのちゃんで終わるぜ今日はとうとう来たよりもお前は一生逃走劇だ」と脚韻と頭韻を織り交ぜ見事な文脈とライミング。

 

晋平太「俺がどこが嘘ついてんだ?言ってくれよ 約束のくだりか?司会も降りた 審査員も降りた アンタのシナリオ通りな 関係ねぇんだよ ×コンプラ×とアンタでタイマン張れ 簡単じゃね? ふざけんじゃねぇ お前が×コンプラ×だが俺は×コンプラ×じゃねえ」

このコンプラはそれぞれ「社長・ジャイアン・のび太」
漢に対して「俺が敵じゃなくて敵はLibraの社長だろ」と主張。

 

漢「俺との指切り 勝手に破ってお前ビックリするよ こんな現場で大嘘つきの晋平太 シングルマッチはシンプルな話だお前は死んじまう×コンプラ×だ」

このコンプラは「bitch」
晋平太が破った約束というのは冒頭文に書いた漢に嘘をついた事だろう。

 

晋平太「俺がマリオ どけよクッパ 文句があるそんな話じゃねえシャツの汚れ 落として二人で手を握れ結ばしてやるよ薩長同盟」

晋平太的には社長と漢に争いを辞めて手を結んで欲しいのか。
UMBもフリースタイルダンジョンも降板してかなり精神的に追い込まれているに違いない。

 

漢「おい 嘘ついたよさっきのVTRでもよ 堂々とした面で俺は降板した理由お前クビになったんじゃねえよ 俺と般若に嘘ついてクビ切られたんだよ」
「お前俺と般若にクビ切られてんだよ」はきっと事実だろう。
これはフリースタイルダンジョン降板理由を建前上「挑戦したくなった」と言っている晋平太にとってはだいぶ重いパンチラインだろう。

結果は3対2でモンスターの漢akaGAMIの勝利。
この戦いは正直漢が圧倒的に強かった。
まだ2人の戦いはまだ見たかったのでこの審査結果は視聴者的にはありがたい。

晋平太 vs 漢 a.k.a GAMI(2nd.ラウンド)

第2ラウンドも先攻晋平太。

晋平太「嘘ついたってしか言ってねぇじゃねえかよ 」と漢のDisが単調なのを指摘。

晋平太は漢に何か伝えたいメッセージがあるのだろうが、漢のアンサーが全て「お前は嘘ばっか」というものなので苛立ちがあるのだろう。

 

漢「 お前は復讐するために悪魔に魂売ったんだろ?昨日昨晩何考えてた?ふざけんじゃねぇ さっさと買え 俺の日めくりカレンダー」の中で「考えてた・カレンダー」で踏む。
(日めくりカレンダーとは漢の「毎日パンチライン」という日めくりカレンダー)

 

晋平太「昨晩 お前が日めくりカレンダー 逃げずに向いてる俺はチャレンジャー 拙者が運転者 リアルにアンタのやり方でストリートみたいに言ってみろ 人のリアルなんか10通りあるよ」と「カレンダー・チャレンジャー・拙者が運転者」で踏む。

「拙者が運転者」というライミングを以前にも晋平太は使っているのだがそのバトルを観て漢は「何が運転者だ。そんな言葉ねえよ!!運転手だろうが!!」とめちゃくちゃいじっていた。

 

漢「ストリートだったらとっくにボンッ! 一発でワンパンK.O.してるに決まってんだろうがテレビだからしょうがないでしょ 」ここは漢らしさが出てる見事なアンサー。
「ボンッ!」のところの殴る動作が顔寸前・・・
漢が本気で苛立っているのがわかる。

 

晋平太も「それスッて避けて お前の懐に入って 心の奥底までライムしてやるよそれがストリートのスタイル」とアンサーを返す。
また、「9sari×コンプラ×知ったこっちゃねぇ 嘘ついた?俺を鎖で縛んな それと天秤で測んな」
のコンプラは「ライブラ」だろう。
「9sari」と「鎖」、「ライブラ」と「天秤(ラテン語でLibra)」のダブルミーニングで掛けたたまらなくキレイなラインだ。

 

漢「お前最近じゃ×コンプラ×らしいな「いやいや吸わねえ」とかここでもまた嘘つく俺にはちゃんとスパイがいる」
ここのコンプラは「葉っぱも吸う」

結果は3:2でチャレンジャー晋平太の勝利。
最後の第3ラウンドでついに2人の因縁の戦いに決着がつく。

晋平太 vs 漢 a.k.a GAMI(3rd.ラウンド)

先攻漢、後攻晋平太。

漢「いつも劣化してるって言われてたけどな テメーとは違ぇ所は1つだけ嘘もないリアルなMC お前は今日ここに来ても残念な嘘ばかりで悲しい」と漢。

一貫して「晋平太が嘘をついてる」と主張。

 

これに対し、晋平太が「俺が劣化してる?アンタ見下してる?そんなはずねぇじゃねえかフリースタイルのレベル 上げるためにやってるそのハードル ちゃんと上げてKOK作った それは素晴らしいと思うよだけどマイクは憂さ晴らしの道具ではねぇよ」とライミング。

KOKを作り上げた漢へのリスペクトも含んでいる。

 

漢「KOK それもお前が居なかったら出来なかった大会 ありがとな晋平太 ちゃんと日本一決めれるようになったよ」と嫌味と愛情が交差しているようなアンサー。
さらに続けて「ブームに乗るより 俺は文化に残す そのためにこういう番組にも出てる」とHIPHOPへの熱い想いが溢れ出る。

 

晋平太がいよいよ本音を音に乗せる。


「ブームにしたのは皆だろ それ文化にすんのも皆だろ 知ってんだろ 俺の生き方を 俺だってあんな言われ方して司会続けんの嫌だよ 辛かったぜ 恨みたかったぜ でもな本心で言う 漢くんのこと好きだぜ 俺は嘘はついてねぇ クソ食らえ 俺のことが嫌いでもそれは不足はねぇ」
晋平太が勇気を振り絞り言った言葉は「漢くんのこと好きだぜ」
一度、漢に嘘をついてしまった事で拒絶されたが、本当はずっと仲違いを解消したかったに違いない。

これに対して漢が最高にかっこいいアンサーを返す。「(腹くくってライブらと決別して)3年目だぜ 残念なだけ 懺悔はもういらねぇさっさと俺と手を繋げ テメーはザコの手下になってよ 誰かに使われることばっか 使われるんじゃねぇよ 一緒に手をつなごうって言ってんだよだけとルールをちゃんと守れよこのクソが 」晋平太の想いが漢に届いた瞬間だった。
漢も心から晋平太のことを憎んでいたわけではないのだろう。
漢の男気を強く感じた。

 

晋平太「俺は×コンプラ×の操り人形 ハマりかけたぜ怪しい宗教 だけどけしかけた手下じゃねえ 拙者で決めたんだ アンタの作ったUMB それをもっと有名に KOKとデカくして日本一の大会に それ出来るなら俺はこの命もいらないぐらいに」
ここのコンプラは「ライブラ」
「操り人形・怪しい宗教」「UMB・有名に」など韻を踏みながら文脈も崩さない晋平太のスキルはやはり恐ろしい。

 

結果はクリィティカルで晋平太の勝利。
第3ラウンドは晋平太と漢が和解するというJ-HIPHOP界でも1.2を争うドラマが生まれた。
魂のぶつかり合いは心打たれるものがあった。

 

当ブログで判定結果にどうこう言うことは避けようと思っていたが、今回ばかりは漢の勝利ではないかと思った。
3年間戦い続け、それでも敵方の人間を救い上げようとするその行為。
スキルもバイブスもすごかったが、バトルにおける武器を超越する何か器のようなものが垣間見れた神回だった。

晋平太にとってはこれが終わりではなく、始まり。
言ったように動くなら数々の壁が立ちはだかっていくだろう。

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